問いしるべ
問いから始める物理 仕事とエネルギー

仕事とエネルギー

ニュートンダイアグラムの演習

著者:柚木芹香

定規とコンパスを使い,速度の先端を実際に描いてから答えを読んでみましょう.以下では外力の力積を無視し,散乱角 χ は衝突前の相対速度から反時計回りに測ります.

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

質量 3m のAと m のBの速度が,それぞれ (0,4u),(4u,0) である.m,u>0 とする.2物体は衝突して一体になる.

  1. 速度空間に A1,A2 を描き,内分点Gを作図せよ.

  2. 衝突後の先端 B1,B2 を記入し,速度と速さを読み取れ.

衝突前の速度の先端と指定された条件のみを示す.G,円,衝突後の先端は読者が作図する. 衝突前の速度の先端と指定された条件のみを示す.G,円,衝突後の先端は読者が作図する.
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考え方 重いAの速度の先端にGが近くなるよう,A1G:GA2=1:3 に分ける.完全非弾性では2つの円がGへ縮む.

  1. A1A2 を4等分し,A1 から1区間だけ進んだ点をGとする.座標は (u,3u) である.A1G=2u,GA2=32u で比が確かめられる.

  2. B1=B2=G と記入する.OからGへの矢印を読むと v後=(u,3u),速さは 10u.運動量は初めの (4mu,12mu) と,後の 4m(u,3u) で等しい.速度図の目盛は距離ではなく速さの単位であることにも注意する.

演習 2

オリジナル ★★☆☆☆

質量 m のA,Bが速度 (3u,u),(−u,u) で衝突し,弾性衝突後の散乱角が χ=90∘ となった.

  1. Gと円を作図し,B1,B2 を打て.

  2. Oからの矢印を描き,各速度を読み取れ.2つの速度は直角であるか.

衝突前の速度の先端と指定された条件のみを示す.G,円,衝突後の先端は読者が作図する. 衝突前の速度の先端と指定された条件のみを示す.G,円,衝突後の先端は読者が作図する.
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考え方 等質量なら円は1つだが,直角の結論にはOが円周上にあることも必要である.

  1. A1A2 の中点 G=(u,u) を取り,半径 2u の円を描く.GA1 は右向きなので,反時計回りに 90∘ 回した GB1 は上向き.Gの上 2u に B1,下 2u に B2 を置く.

  2. 読み取ると v1後=(u,3u),v2後=(u,−u).内積は −2u2 で0ではない.なす角は鈍角で,cos⁡α=−1/5 より約 117∘.図でも OG=2u<2u でOは円の内側にあり,タレスの定理の条件を満たさない.エネルギーは前後とも 12m(12u2)=6mu2 である.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

質量 m のAが速度 (5u,0),質量 4m のBが静止していて,正面衝突する.反発係数は e=1/2 である.

  1. Gと2つの円を描き,Gからの距離を半分に縮めて反対側に B1,B2 を作図せよ.

  2. 各速度と失われる運動エネルギーを求めよ.

衝突前の速度の先端と指定された条件のみを示す.G,円,衝突後の先端は読者が作図する. 衝突前の速度の先端と指定された条件のみを示す.G,円,衝突後の先端は読者が作図する.
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考え方 正面衝突なので χ=180∘,半径の縮小率は k=e.G自体は移動させない.

  1. A1G:GA2=4:1 より G=(u,0).初めの半径は 4u,u.縮めた半径は 2u,u/2 である.A側の先端をGの左に,B側の先端をGの右に置くと,B1=(−u,0),B2=(3u/2,0) となる.

  2. Oから読む速度はAが −u,Bが +3u/2.エネルギー損失は μ=4m/5 として

ΔK=124m5(1−14)(5u)2=152mu2

である.前の 25mu2/2 から後の mu2/2+12(4m)(3u/2)2=5mu2 を引いても同じになる.反発係数は速さの比ではなく,離れる相対速さ 5u/2 と接近する相対速さ 5u の比である.

演習 4

オリジナル ★★★☆☆

質量 2m のAと m のBが速度 (3u,0),(0,3u) で衝突する.衝突後の相対速さは衝突前の k=1/2 倍,散乱角は χ=90∘ である.

  1. A1,A2,Gと2つの円を描き,半径を半分にした円上に B1,B2 を作図せよ.

  2. 各速度を読み取り,エネルギー損失を求めよ.

衝突前の速度の先端と指定された条件のみを示す.G,円,衝突後の先端は読者が作図する. 衝突前の速度の先端と指定された条件のみを示す.G,円,衝突後の先端は読者が作図する.
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考え方 回すのはOからの矢印ではなく,Gからの矢印である.縮小後も2つの先端はGをはさんで同一直線上に置く.

  1. Gは (2u,u).初めの GA1 は (u,−u),GA2 は (−2u,2u) で,半径は 2u,22u.それぞれ半分にし,反時計回りに直角だけ回すと GB1=(u/2,u/2),GB2=(−u,−u).これを図に記入する.

  2. Oからの矢印は (5u/2,3u/2),(u,0) である.μ=2m/3,vrel2=18u2 より,初めの相対運動のエネルギーは 6mu2,損失はその 1−k2=3/4 倍の 9mu2/2.前後の全エネルギー 27mu2/2,9mu2 の差とも一致する.斜めの衝突なので,ここで指定した k を法線方向の反発係数と同一視してはいけない.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

質量 2m のAが速度 (3u,0) で,静止した質量 m のBに弾性衝突する.Aの衝突後の速度が入射方向から上へ角 θ をなし,tan⁡θ=1/2 であることだけが分かっている.

  1. ニュートンダイアグラムを描き,Oから傾き 1/2 の半直線を引け.Aの先端の候補はいくつあるか.

  2. 交点の座標と,対応するBの速度をすべて求めよ.

衝突前の速度の先端と指定された条件のみを示す.G,円,衝突後の先端は読者が作図する. 衝突前の速度の先端と指定された条件のみを示す.G,円,衝突後の先端は読者が作図する.
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考え方 観測した向きは速度空間の半直線を指定する.速さが未測定なら,円との交点をすべて調べる必要がある.

  1. G=(2u,0),半径はA側が u,B側が 2u.Oから引いた半直線はAの円と2点で交わる.したがって候補は2つである.

  2. B1=(xu,yu) とおくと,円と直線の式は (x−2)2+y2=1,y=x/2.代入して 5x2−16x+12=0 より x=2,6/5.2つの組は

v1後=(2u,u),v2後=(2u,−2u)
v1後=(6u/5,3u/5),v2後=(18u/5,−6u/5)

である.Bの先端は GB2=−2GB1 となるよう作図する.Aの速さは 5u と 3u/5 で異なる.どちらの組も運動量は (6mu,0),エネルギーは 9mu2 で,保存則だけでは一方を除けない.

ポイント 教える人へ

  • 解答を式で始める前に,内分点Gと円を必ず描かせる.Gが重い物体の先端に近いかを確かめる.

  • Oからの矢印とGからの矢印を色分けし,どちらを回しているか説明させる.

  • 等質量だから直角,という短絡には,演習2でOが円の内側にあることを指摘させる.

  • 観測方向と円の交点を数えると,角度だけでは速さが一意に定まらないことが分かる.計算結果を元の図の2点へ戻させる.