問いしるべ
問いから始める物理 万有引力と天体

万有引力と天体

極座標の演習

著者:柚木芹香

動径方向と回る向きの成分は,場所とともに向きを変えます.r˙,rθ˙,r¨−rθ˙2,rθ¨+2r˙θ˙ を分け,成分の変化とベクトルの変化を区別してください.ドットは時間微分を表します.

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

原点Oのまわりの極座標で,ある瞬間の運動が r=2.0m,θ=π/2,r˙=−0.50ms−1,θ˙=0.75rads−1,r¨=0,θ¨=0.20rads−2 と測定された.

  1. 速度を直交座標の成分で表し,速さを求めよ.

  2. 加速度を直交座標の成分で表せ.

y軸上の点での単位ベクトルを示す模式図. y軸上の点での単位ベクトルを示す模式図.
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考え方 まず極座標の成分を計算し,この位置の単位ベクトルへ掛ける.

  1. er=(0,1),eθ=(−1,0) なので v=−0.50er+1.5eθ=(−1.5,−0.50)ms−1.速さは 1.52+0.502≈1.6ms−1.

  2. ar=−2.0×0.752=−1.125ms−2,aθ=2.0×0.20+2(−0.50)×0.75=−0.35ms−2.したがって a=(0.35,−1.125)ms−2≈(0.35,−1.1)ms−2.rθ˙ は速度,rθ˙2 と r˙θ˙ は加速度の次元である.

演習 2

オリジナル ★★☆☆☆

原点Oから +x 方向に距離 a の点Cを中心とする半径 a の円上を,点Pが一定角速度 Ω で反時計回りに動く.時刻 t=0 にPは (2a,0) にある.0≤Ωt<π を考える.

  1. Oを原点とする極座標で r,θ を表せ.

  2. 極座標の速度の式から,Pの速さが aΩ で一定であることを示せ.

円の中心と極座標の原点を示す模式図. 円の中心と極座標の原点を示す模式図.
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考え方 円の中心から測った角と,Oから測った角は同じではない.半角の公式で x,y を同じ係数でくくる.

  1. x=a(1+cos⁡Ωt)=2acos2⁡(Ωt/2),y=asin⁡Ωt=2asin⁡(Ωt/2)cos⁡(Ωt/2).指定した区間では cos⁡(Ωt/2)>0 だから r=2acos⁡(Ωt/2),θ=Ωt/2.

  2. r˙=−aΩsin⁡(Ωt/2),rθ˙=aΩcos⁡(Ωt/2).よって v2=r˙2+r2θ˙2=a2Ω2,v=aΩ.Oからの距離は変わっても,速さは一定である.t→π/Ω ではPがOへ近づき,極座標は原点で定義できなくなるが,速さは有限のままである.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

質量 m の小球が,鉛直線 x=b>0 上を x=b,y=v0t−gt2/2 と運動する.上向きが +y で,力は鉛直下向きの重力だけである.Oを原点とする極座標で考える.

  1. Oのまわりの角運動量 L と,面積速度を求めよ.

  2. dLdt=rFθ が成り立つことを,重力の成分から確かめよ.

原点からずれた鉛直の運動を示す模式図. 原点からずれた鉛直の運動を示す模式図.
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考え方 直交座標で角運動量を求めてから,極座標の成分の式と照合する.等速運動の例題と違って,Oまわりのトルクは0ではない.

  1. L=m(xy˙−yx˙)=mb(v0−gt).面積速度は符号つきで L/(2m)=b(v0−gt)/2.上昇中は正,頂点で0,下降中は負である.幾何学的な面積の増加率を求める場合は絶対値をとる.

  2. F=(0,−mg),eθ=(−sin⁡θ,cos⁡θ) より Fθ=−mgcos⁡θ.rcos⁡θ=b なので rFθ=−mgb=dLdt.L の単位は kgm2s−1,その微分は Nm.g→0 では角運動量と面積速度が一定になり,等速直線運動の結果に戻る.

演習 4

オリジナル ★★☆☆☆

平面内で質量 m の粒子が r=r0eλt,θ=ωt と動く.r0,λ,ω は正の定数で,λ,ω の単位は s−1 である.この曲線は,半径が角に対して指数関数的に増すらせんである.

  1. 速度,加速度を極座標の成分で表せ.

  2. 必要な合力は中心力か.λ=ω の場合,力の動径成分が0でも半径が増す理由を説明せよ.

指数関数的に広がるらせんを示す模式図. 指数関数的に広がるらせんを示す模式図.
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考え方 r の時間微分は r˙=λr,r¨=λ2r.速度の成分の変化だけで加速度を判断しない.

  1. v=r(λer+ωeθ),a=r[(λ2−ω2)er+2λωeθ].速さは rλ2+ω2 で増える.

  2. Fθ=2mλωr≠0 だから中心力ではない.λ=ω なら r¨=rω2 で,動径方向の加速度 r¨−rω2 は0でも,距離の2階微分 r¨ は正である.向きが回る分が差を生む.λ→0 で半径一定の円運動となり,a=−r0ω2er に戻る.λωr の単位は加速度である.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

質量 m の粒子が,原点Oを向く力だけを受けて平面内を動く.Oからの距離は r=r0(1+ϵcos⁡νt) である.0<ϵ<1,ν>0,r2θ˙=h>0 が一定とする.

  1. θ˙ と,必要な力の外向き成分 Fr を時刻の関数で表せ.

  2. 距離が最小になる瞬間にも力がOを向くための h の条件を求めよ.その条件だけで全時刻にわたって力がOを向くと言えるか調べ,全時刻での条件も求めよ.

中心力運動での距離の範囲を示す模式図. 中心力運動での距離の範囲を示す模式図.
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考え方 中心力の角方向の式から角速度が決まる.動径の2階微分が正でも,力が外向きとは限らない.

  1. θ˙=h/r2,r¨=−r0ϵν2cos⁡νt より Fr=m[−r0ϵν2cos⁡νt−h2/r3].r2θ˙ が一定なので Fθ=0 である.

  2. 最小距離では cos⁡νt=−1.Fr<0 の条件は h2>r04ϵν2(1−ϵ)3.ただしこれは全時刻の条件とは限らない.q=−cos⁡νt とすれば,外向きの項が生じる半周期で必要な条件は h2>r04ϵν2q(1−ϵq)3(0≤q≤1).ddq[q(1−ϵq)3]=(1−ϵq)2(1−4ϵq) より,最大値は ϵ≤1/4 なら (1−ϵ)3,ϵ>1/4 なら 27/(256ϵ).したがって全時刻の条件は,それぞれ h2>r04ϵν2(1−ϵ)3,h2>27r04ν2/256 である.最小距離だけを調べれば十分なのは ϵ≤1/4 の場合である.h2 と r04ν2 はともに m4s−2 の次元をもち,ϵ→0 で円運動に戻る.

演習 6

オリジナル ★★★☆☆

Oを通る半径 a の円の一部を,質量 m の粒子が r=2acos⁡θ,−π/2<θ<π/2 に沿って動く.今度は円周上の速さを一定にせず,r2θ˙=h>0 を一定に保つ.

  1. r˙ と r¨ を r,θ で表せ.

  2. 必要な合力が中心力であることを示し,その大きさの r への依存性を求めよ.

面積速度を一定に保つ円の軌道を示す模式図. 面積速度を一定に保つ円の軌道を示す模式図.
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考え方 θ˙=h/r2 を使って角に関する微分を時間微分へ直す.演習2と同じ幾何学的な円でも,時間の進み方が違えば力も違う.

  1. r˙=(−2asin⁡θ)h/r2.θ¨=−2hr˙/r3 なので,r¨=−rθ˙2−2asin⁡θθ¨=−h2/r3−8a2h2sin2⁡θ/r5.4a2sin2⁡θ=4a2−r2 を入れると r¨=h2/r3−8a2h2/r5.

  2. aθ=r−1ddt(r2θ˙)=0.ar=r¨−rθ˙2=−8a2h2/r5 より,力はOを向き,大きさは 8ma2h2/r5 で,距離の5乗に反比例する.h の単位は m2s−1 だから,a2h2/r5 は加速度である.Oへ近づくと力は発散するので,Oそのものを通過する運動まではこの模型で扱えない.

ポイント 教える人へ

  • 速度の成分を,その位置の単位ベクトルと一緒に図へ描かせる.

  • r¨ と動径加速度の違いを,円の中心と極座標の原点が異なる例で説明させる.

  • 面積速度が一定かどうかは,原点のまわりのトルクで判断させる.

  • 演習5では,1つの特別な瞬間の条件が全時刻の条件になるかを確かめさせる.