問いしるべ
問いから始める物理 光

光

偏光と光の強度の演習

著者:柚木芹香

電場の射影から強度を求め,明暗の変化と偏光方向を結びつけます.

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

一定のパワー P0=3.0mW の直線偏光を,角速度 Ω=5πrads−1 で回る理想偏光板に当てます.透過軸の角は電場から Ωt+π/6 とします.

  1. 透過パワー P(t),明暗の周期,初めて暗くなる時刻を求めよ.

  2. 板の1回転中に通るエネルギーを求めよ.

光の進行方向から見た初期配置である.入射電場と初期透過軸の角はπ/6で,透過軸は角速度Ωで正方向へ回る. 光の進行方向から見た初期配置である.入射電場と初期透過軸の角はπ/6で,透過軸は角速度Ωで正方向へ回る.
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考え方 マリュスの法則でパワーを表し,時間積分する.

  1. P(t)=P0cos2⁡(Ωt+π/6)=P0[1+cos⁡(2Ωt+π/3)]/2.明暗の周期は T=π/Ω=0.20s.最初の暗さは Ωt+π/6=π/2 より t=π/(3Ω)=0.067s である.

  2. 1回転は 2π/Ω,余弦の積分は0なので W=∫02π/ΩP(t)dt=P0π/Ω=0.60mJ.単位はパワーと時間の積である.光の角振動数 ω に対し,強度の時間平均には 1≫Ω/ω が必要である.

演習 2

オリジナル ★★☆☆☆

糖液は偏光方向を ψ=Kρℓ だけ正に回します.ρ は質量濃度,ℓ は光路長で,K=1.00×10−2radm2kg−1 とします.吸収は無視します.透過軸の角 β の基準には未知のずれがあり,最小強度の角を測りました.

ℓ/m

0

0.050

0.100

0.150

β/deg

92.0

95.0

98.0

101.0

  1. 直線の傾きと切片を求め,ρ を推定せよ.

  2. 両端の角に独立な不確かさ 0.2∘ があるとき,差から求める ρ の不確かさを求めよ.差の不確かさは2乗の和の平方根とし,K,ℓ は正確とします.

入射偏光を光路長ℓの糖液に通し,検光子と検出器で測る.角βは検光子の目盛りに対する透過軸の角で,目盛りの基準には未知のずれがある. 入射偏光を光路長ℓの糖液に通し,検光子と検出器で測る.角βは検光子の目盛りに対する透過軸の角で,目盛りの基準には未知のずれがある.
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考え方 長さに依存しない角度のずれを,傾きから分離する.

  1. 最小では軸と電場が直交し,β=β0+Kρℓ.切片は 92.0∘,傾きは 9.0∘/(0.150m)=(π/3)radm−1.中間点もこの直線に合い,ρ=(π/3)/K=1.05×102kgm−3.切片と 90∘ の差が基準のずれである.

  2. δβ=2×0.2∘=4.94×10−3rad.ρ=Δβ/(KΔℓ) より δρ=δβ/(KΔℓ)=3.3kgm−3.結果は ρ=(105±3)kgm−3.単位も Kℓ の逆数と一致する.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

自然光を屈折率1の空気中から,屈折率 n=3 の2つのガラス面で順に反射させます.両面で入射角はブルースター角,2つの入射面の角は ϕ です.入射面に垂直な電場の強度反射率を両面で Rs=1/4 と与え,裏面反射は無視します.

  1. 両面の入射角を求めよ.

  2. ϕ=60∘ のとき,2回反射後の強度と入射強度 I0 の比を求めよ.反射光を完全に消す ϕ はいくらか.

空気側から2つのガラス面の上面で順に反射する光路と各面の法線を模式的に示す.中間光線はガラス板の外を通り,両入射角はブルースター角である.下の図は中間光線に沿って見た2入射面の角φを示す. 空気側から2つのガラス面の上面で順に反射する光路と各面の法線を模式的に示す.中間光線はガラス板の外を通り,両入射角はブルースター角である.下の図は中間光線に沿って見た2入射面の角φを示す.
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考え方 最初の反射で選ばれた電場を,次の入射面に対して射影する.

  1. 空気の屈折率を1とすると tan⁡θB=n より θB=60∘.屈折角は 30∘ で,反射方向と屈折方向は直交する.

  2. 自然光の2成分は等強度より I1=RsI0/2=I0/8.第1入射面に垂直な電場を,第2入射面に垂直な軸へ射影し,I1cos2⁡ϕ を得る.第2反射を含め I2/I0=Rs2cos2⁡ϕ/2=1/128.ϕ=90∘ なら0となる.両面が正確にブルースター角という条件が必要である.

演習 4

オリジナル ★★★☆☆

日光を +z 方向に進む自然光とし,分子で1回だけ散乱する模型で空を考えます.入射電場は等強度の x,y 成分をもち,干渉項の平均は0です.散乱方向を s=(sin⁡χ,0,cos⁡χ) とし,各成分の散乱電場は E−(E⋅s)s に比例すると与えます.比例係数は両成分で同じです.

  1. 入射面 xz に垂直・平行な散乱光の強度比を求めよ.

  2. 検光子を回したときの最大・最小強度を Imax,Imin とし,P=(Imax−Imin)/(Imax+Imin) を求めよ.χ=60∘ で評価し,χ=90∘ で空の偏光方向を答えよ.

日光は+z方向へ進む.散乱方向sはxz面内にあり,+zとの角をχとする.y方向は入射面の外向きの軸として描く. 日光は+z方向へ進む.散乱方向sはxz面内にあり,+zとの角をχとする.y方向は入射面の外向きの軸として描く.
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考え方 各入射成分を散乱方向に垂直な面へ射影し,強度を足す.

  1. y 成分はそのまま残る.散乱方向に垂直な入射面内の単位ベクトルは u=(cos⁡χ,0,−sin⁡χ) だから,x 成分の射影は Excos⁡χ.各成分の元の強度を同じ係数で J と表すと,I⟂=J,I∥=Jcos2⁡χ で,比は 1:cos2⁡χ である.

  2. 透過軸が y 軸となす角を β とすれば I=Jcos2⁡β+Jcos2⁡χsin2⁡β.最大は J,最小は Jcos2⁡χ より P=sin2⁡χ/(1+cos2⁡χ).χ=60∘ では P=3/5.90∘ では I∥=0 となり,電場は太陽・散乱点・観測者を含む面に垂直である.前方の χ=0 で P=0 も再現する.多重散乱を無視するには,光路上で散乱される割合が十分小さいことが必要である.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

強度 I0 の x 方向の直線偏光に,N≥4 枚の理想偏光板を順に通します.軸の角を 0=θ0≤θ1≤⋯≤θN=π/2 とし,各差 δj=θj−θj−1 は π/2 未満とします.

  1. 透過強度を最大にする角度の並べ方を求めよ.固定した和 u+v に対する cos⁡ucos⁡v=[cos⁡(u+v)+cos⁡(u−v)]/2 を使ってよいとします.

  2. 最大強度の N→∞ の極限と,減少分の先頭の項を求めよ.各板が軸に平行な光にも同じ強度透過率 0<η<1 をもつ場合の極限も答えよ.ln⁡cos⁡x≈−x2/2 を使ってよいとします.

入射偏光の方向はxで角0に対応する.順に並ぶN枚の板のうち第1,第j,最後の板を抜き出し,任意の中間角と最後の角π/2を示す. 入射偏光の方向はxで角0に対応する.順に並ぶN枚の板のうち第1,第j,最後の板を抜き出し,任意の中間角と最後の角π/2を示す.
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考え方 投影の損失を各段で掛け,角度差の配分を比べる.

  1. I/I0=∏j=1Ncos2⁡δj,∑jδj=π/2.2つの差が異なれば,その和を保って等しくすると与えた恒等式の cos⁡(u−v) が増す.最大では全差が等しく,δj=π/(2N),θj=jπ/(2N) である.最大値は IN=I0cos2N⁡(π/(2N)) となる.

  2. ln⁡(IN/I0)=2Nln⁡cos⁡(π/(2N))≈−π2/(4N) より IN/I0≈1−π2/(4N)→1.減少分は I0π2/(4N) である.損失があればさらに ηN を掛けるので極限は0となる.近似には π/(2N) と π2/(4N) が十分小さいことが必要で,理想化の有無で極限が変わる.

ポイント 教える人へ

電場の射影と,その2乗である強度を区別させます.
回転の角速度と明暗の周期,旋光の傾きと基準のずれを問います.
反射と散乱では,偏光方向を入射面に対して説明させます.
多数の板の極限では,小さい角度差と板ごとの損失を確認します.