問いしるべ
問いから始める物理 運動を記述する

運動を記述する

位置とベクトルの演習

著者:柚木芹香

位置・変位・ベクトルの成分計算を練習します.まず自分で解き,そのあとで解答と見比べてください.

演習

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

駅Aを原点,東を x 軸,北を y 軸の正の向きとする地図(単位 km)で,図書館Lは (3, 1),公園Pは (−1, 4),郵便局Qは (1, −2) にある.

東をx軸,北をy軸として駅A,図書館L,公園P,郵便局Qを配置する.座標の単位はkm. 東をx軸,北をy軸として駅A,図書館L,公園P,郵便局Qを配置する.座標の単位はkm.
  1. LからPへの変位の成分と大きさを求めよ.

  2. 郵便局Qを原点に取り替えたとき,LとPの位置ベクトルをそれぞれ求めよ.また,LからPへの変位を求め,(1) と比べよ.

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  1. Δr=rP−rL=(−1−3, 4−1)km=(−4, 3)km.大きさは 16+9=5km.

  2. 新しい原点がQなので,各点の新しい位置ベクトルは元の位置ベクトルから rQ=(1,−2) を引いて得られる.

rL′=(3−1, 1+2)=(2, 3)km,rP′=(−1−1, 4+2)=(−2, 6)km

LからPへの変位は rP′−rL′=(−4, 3)km で,(1) と一致する.

演習 2

オリジナル ★☆☆☆☆

次のベクトルの成分を求めよ.ただし,水平右向きを x,鉛直上向きを y の正の向きとする((3) だけは東を x,北を y とする).

投射速度,成分が与えられたベクトル,北西へ進む船の速度を別々に示す.成分の答えは記入しない. 投射速度,成分が与えられたベクトル,北西へ進む船の速度を別々に示す.成分の答えは記入しない.
  1. 水平から 30∘ 上向きに投げた,速さ 20ms−1 のボールの速度ベクトル.

  2. 成分が (12, 5) のベクトルの大きさと,x 軸となす角(tan の値でよい).

  3. 北西に 6.0ms−1 で進む船の速度ベクトル.

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  1. v=(20cos⁡30∘, 20sin⁡30∘)ms−1=(103, 10)ms−1≈(17, 10)ms−1.

  2. 大きさは 122+52=13,tan⁡θ=5/12.

  3. 北西は東から反時計回りに 135∘ の向きなので

v=(6.0cos⁡135∘, 6.0sin⁡135∘)ms−1=(−32, 32)ms−1≈(−4.2, 4.2)ms−1

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

三角形ABCで,辺BCの中点をMとし,原点Oに対する各点の位置ベクトルを a,b,c(Mは m)とする.

三角形ABC,BCの中点M,中線AM上の点Gを示す.AG:GM=2:1である. 三角形ABC,BCの中点M,中線AM上の点Gを示す.AG:GM=2:1である.
  1. m を b,c で表せ.

  2. 中線AMを 2:1 に内分する点Gの位置ベクトルを求めよ.

    1. の結果から,3本の中線は1点で交わることを説明せよ.

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  1. 中点の位置ベクトルは m=b+c2.

  2. AからMへ向かうベクトルは m−a.Aからこのベクトルの 2/3 だけ進んだ点がGなので

g=a+23(m−a)=a+2m3=a+b+c3
  1. g の式は a,b,c について対称である.B から出る中線についても同じ手順で 2:1 の内分点を求めると,同じ a+b+c3 になる.したがって3本の中線は同じ点Gを通り,Gは各中線を頂点側から 2:1 に内分する.この点が重心である.

演習 4

オリジナル ★★☆☆☆

原点Oから点Pへのベクトルを a=(1, 2, 2),点Qへのベクトルを b=(2, −3, 6) とする.

共通の原点Oから点Pと点Qへ向かうベクトルを示す.投影図の見かけの角度は実際の角度ではない. 共通の原点Oから点Pと点Qへ向かうベクトルを示す.投影図の見かけの角度は実際の角度ではない.
  1. 角 ∠POQ の余弦を求め,角度を小数第1位まで求めよ.

  2. c=(2, k, −1) が a に垂直になるように k を定めよ.

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  1. |a|=1+4+4=3,|b|=4+9+36=7,a⋅b=2−6+12=8.したがって

cos⁡∠POQ=a⋅b|a||b|=821≈0.381

で,角はおよそ 67.6∘.

  1. a⋅c=2+2k−2=2k=0 より k=0.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

平行四辺形で,隣り合う2辺を表すベクトルを a,b とする.2本の対角線は a+b と a−b で表される.

隣り合う辺a,bと,二つの対角線a+b,a−bを示す. 隣り合う辺a,bと,二つの対角線a+b,a−bを示す.
  1. |a+b|2+|a−b|2=2(|a|2+|b|2) を示せ.

  2. 2本の対角線の長さが等しい平行四辺形は長方形であることを,内積を使って示せ.

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  1. 内積の性質 |X|2=X⋅X と,成分で確かめられる分配法則を使う.

|a+b|2=|a|2+2a⋅b+|b|2,|a−b|2=|a|2−2a⋅b+|b|2

2式を足すと a⋅b の項が消えて,2(|a|2+|b|2) になる.これは「平行四辺形の対角線の2乗の和は,4辺の2乗の和に等しい」という関係である.

  1. |a+b|=|a−b| なら2乗も等しいので,上の展開から 2a⋅b=−2a⋅b,すなわち a⋅b=0.a⟂b なので,隣り合う辺が直角になり,この平行四辺形は長方形である.逆に長方形なら a⋅b=0 で対角線の長さは等しい.

ポイント 教える人へ

  • 最初に「駅から500 m」を示し,何が足りないかを自分の言葉で言わせる.「向き」と答えが出たら,「向きを測る基準は何か」と重ねて,座標系の必要を引き出す.

  • よくあるつまずきは,位置と変位の混同である.位置は原点に依存し,変位は依存しないことを,前の節の例題2のように原点を替えて数値で確かめさせる.

  • 理解の確認には,「東へ3,北へ4進んだ後,西へ3進む.変位と道のりは」のような短い問いが有効である.

  • 内積は式の暗記ではなく,成分の定義と cos⁡θ が一致する理由(余弦定理)まで一度たどらせる.