問いしるべ
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運動を記述する

放物運動の演習

著者:柚木芹香

水平方向と鉛直方向に分け,それぞれの加速度を書き出してから取りかかります.三角関数の式変形が出てきたら,前の節の加法定理と2倍角を見直してください.

演習

演習 1

オリジナル ★★☆☆☆

地面のボールを初速 14ms−1,水平面との角 30∘ で蹴った.空気の抵抗は無視する.(1) 滞空時間,最高点の高さ,到達距離を求めよ.(2) 同じ到達距離を与える別の角を答えよ.また,この初速でボールを最も遠くへ飛ばしたときの到達距離はいくらか.必要なら,2倍角の公式 sin⁡2θ=2sin⁡θcos⁡θ を使ってよい.

水平な地面から30°の向きに速さ14 m s⁻¹で蹴り出す瞬間を示す. 水平な地面から30°の向きに速さ14 m s⁻¹で蹴り出す瞬間を示す.
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考え方 T=2v0sin⁡θg,H=v02sin2⁡θ2g,R=v02sin⁡2θg を用いる.v02=196.

  1. T=2⋅14⋅0.59.8≈1.43s.H=196⋅0.252⋅9.8=2.5m.R=196⋅sin⁡60∘9.8=20⋅32≈17.3m.

  2. sin⁡2θ=sin⁡(180∘−2θ) から,もう1つの角は 90∘−30∘=60∘.最大の到達距離は θ=45∘ のときの v02g=1969.8=20m である.

演習 2

オリジナル ★★☆☆☆

原点から初速 14ms−1 で球を投げ,水平距離 12m,高さ 3.0m の位置にある的に当てたい.投射角を2つ求めよ.必要なら 1cos2⁡θ=1+tan2⁡θ を使ってよい.

原点と水平距離12 m,高さ3.0 mの的を示す.投射方向は未記入とする. 原点と水平距離12 m,高さ3.0 mの的を示す.投射方向は未記入とする.
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考え方 軌道の式を tan⁡θ の2次方程式とみて解く.

u=tan⁡θ とおくと,y=xu−gx22v02(1+u2).g2v02=9.8392=0.025 より,x=12,y=3.0 では

3.0=12u−0.025⋅144(1+u2)=12u−3.6(1+u2)

である.整理して 3.6u2−12u+6.6=0,両辺を0.6で割って 6u2−20u+11=0.解は u=20±13612≈20±11.6612 なので,u≈0.695, 2.64.よって θ≈35∘, 69∘.

演習 3

オリジナル ★★★☆☆

傾き α の斜面の下端Oから,斜面を含む鉛直面内で,水平面との角 θ(θ>α)で初速 v0 の小球を投げる.斜面に沿った着地点までの距離 d について,(1) d を α,ϕ=θ−α の式で表せ.(2) 投射角 θ を変えたときの d の最大値と,そのときの θ を求めよ.(3) α=30∘ のとき,水平面上の最大到達距離 v02/g との比を求めよ.必要なら,2倍角の公式 sin⁡ϕcos⁡ϕ=12sin⁡2ϕ,sin2⁡ϕ=12(1−cos⁡2ϕ) と,加法定理 sin⁡(A+B)=sin⁡Acos⁡B+cos⁡Asin⁡B を使ってよい.

傾きαの斜面の下端Oから,水平とθをなす初速度v₀で投げる.着地点は示さない. 傾きαの斜面の下端Oから,水平とθをなす初速度v₀で投げる.着地点は示さない.
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考え方 斜面に沿った向きをX,斜面に垂直な向きをYとする.重力加速度の成分は −gsin⁡α(Xの向き)と −gcos⁡α(Yの向き)で,初速は斜面から ϕ だけ傾く.

  1. v0X=v0cos⁡ϕ,v0Y=v0sin⁡ϕ.Y方向は Y=v0sin⁡ϕt−12gcos⁡αt2 より,着地(Y=0)の時刻は T=2v0sin⁡ϕgcos⁡α.X方向の距離は

d=v0cos⁡ϕT−12gsin⁡αT2=2v02gcos2⁡α(sin⁡ϕcos⁡ϕcos⁡α−sin2⁡ϕsin⁡α)

である.sin⁡ϕcos⁡ϕ=12sin⁡2ϕ,sin2⁡ϕ=12(1−cos⁡2ϕ) を使うと

d=v02gcos2⁡α(sin⁡2ϕcos⁡α+cos⁡2ϕsin⁡α−sin⁡α)=v02gcos2⁡α(sin⁡(2ϕ+α)−sin⁡α)
  1. sin⁡(2ϕ+α)=1,すなわち ϕ=45∘−α2 のとき最大である.このとき θ=ϕ+α=45∘+α2.最大値は

dmax=v02(1−sin⁡α)gcos2⁡α=v02g(1+sin⁡α)
  1. sin⁡30∘=12 より dmax=v02g⋅23.水平面の最大到達距離の 23 である.(α→0 で水平面の結果に一致する.)

演習 4

オリジナル ★★★☆☆

地面の原点から,初速の大きさ v0 で,鉛直面内のいろいろな向きに物体を投げる.(1) 軌道の式を tan⁡θ の2次方程式とみて(1cos2⁡θ=1+tan2⁡θ を使う),点 (x,y) に届く向きがあるための条件を求めよ.これが,投げうる範囲を囲む放物線(安全放物線)になることを示せ.(2) 高さ h の崖の上の原点から投げるとき,地面に届く最大の水平距離を求めよ.v0=14ms−1,h=19.6m のときの値も求めよ.

地面の原点と高さhの崖上の原点について,初速の大きさv₀と任意の投射方向を示す.到達範囲は描かない. 地面の原点と高さhの崖上の原点について,初速の大きさv₀と任意の投射方向を示す.到達範囲は描かない.
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考え方 軌道の式を u=tan⁡θ の2次方程式とみると,実数の u があること,つまり判別式が0以上であることが,その点に届く条件である.

  1. y=xu−gx22v02(1+u2) を u についてまとめると

gx22v02u2−xu+(y+gx22v02)=0

である.実数解があるための条件は,判別式が0以上,すなわち

x2−4⋅gx22v02(y+gx22v02)≥0

で,x2 で割って整理すると

y≤v022g−g2v02x2

を得る.等号のとき,その点には1つの向きだけで届く.この放物線の内側が届く範囲で,外側には決して届かない.境界の放物線はすべての軌道に接している(包絡線).x=0 で最高到達高さ v022g,y=0 で最大の到達距離 v02g が出る.

  1. 崖の上の原点から地面(y=−h)へ向かうので,y=−h を代入して

−h=v022g−g2v02x2⟹xmax=v0gv02+2gh

である.数値は v02+2gh=196+384.16=580.16,その平方根は約24.1 なので,xmax=149.8×24.1≈34m である.このときの向きは重根 u=v02gxmax≈0.58 から約 30∘ である.

ポイント 教える人へ

  • 問いかけ:モンキーハンティングは,まず予想を聞く.「速い弾なら当たる」「遅いと上を通る」など,直感の誤りが出るので,その理由を言葉にさせてから式に入る.

  • つまずき:水平と鉛直を別々に扱うことに納得しない教わる人が多い.水平方向の速度は変わらないこと,最高点でも加速度は −g のままであることを,図で確認させる.初速の分解(cos⁡θ と sin⁡θ の取り違え)も頻出である.

  • 到達距離の式は暗記させず,その場で導けるようにする.

  • 理解の確かめ:「最高点での速さは0か」と尋ねる.水平成分が残るので0ではない,と答えられれば,独立の考え方がつかめている.