電磁波(発展)
放射と散乱の例題
著者:柚木芹香
本体の
例題
例題 1
鉛直に
アンテナから
水平に 離れた地点での 電波の 平均の 強さと,電場の 振幅を 求めよ. アンテナから
同じ 距離 で,水平から 上を見上げた 向きに ある 飛行機での 強さは,(1) の 何倍か. の
地点で,長さの 短いまっすぐな 受信アンテナを 使う.アンテナを 電波の 進む 向きに 垂直な 面の 中で 鉛直から 角 だけ傾けると,受信電力は鉛直の ときの 何倍に なるか.受信電力が 最大に なる 向きも 答えよ.
鉛直な送信アンテナから水平にr = 10 km離れた受信点と,同じ距離で水平から60°上にある飛行機を示す.水平の視線とz軸は直角で,飛行機への視線とz軸のなす角をθで示す.下段は地上の受信点を電波の進む向きに見た図で,受信アンテナは電波に垂直な面内で鉛直からφだけ傾いている.
解答を見る
考え方 小さな
水平な
向きは なので,平均の強さは
である.正弦波の
と
水平から
上の向きは,z軸との 角が である.距離が同じなので,強さの 比は で, 倍である.真上( )では電波は ほとんど 届かない. 水平な
向きに 届く 放射の 電場は,z軸を 含み視線に 垂直な 向き,つまり 鉛直である.受信アンテナの 導線に 沿う 成分は なので,アンテナに生じる 起電力は 倍,受信電力は電場の2乗に 比例して 倍になる.最大に なるのは 送信アンテナと 平行な 鉛直の 向き( )で, (水平)では受信できない.
確かめ:波長は
例題 2
空気の
同じ
強さで 入射した とき,1個の 分子が 散乱する 電力の 比(青/赤)を 求めよ. 鉛直に
大気全体を 通る とき,青い 光の は である.赤い光の を求め,太陽が 真上に ある ときに まっすぐ 地上に 届く 割合を,それぞれの 色に ついて 求めよ. 夕方,太陽の
光が 大気を 通る 道のりが 真上の ときの20倍に なったとする.光路に 沿った 平均の 分子数密度は,真上の ときと 同じと する.まっすぐ 届く 割合を それぞれの 色に ついて 求め,届いた光の 赤と 青の 強さの 比が,太陽を 出た ときの 何倍に なるかを 答えよ.
左は太陽が真上にあり,大気を短い道で通って地上の観測者へ届く.右は地平線近くから斜めに入り,大気の中を長く進む.丸い地球の外側に薄い大気の層を示し,道の途中から青い光が横へ散乱する矢印を添える.大気の厚さと道の長さは模式的である.
解答を見る
考え方 可視光の
散乱電力は
なので,比は
である.
赤い光の
は である.まっすぐ届く 割合は,青が ,赤が である.真上の太陽は ほとんど 白く 見え,散乱された 約2割の 青い 光が 空を 青くする. 指数が20倍に
なるので,青は ,赤は である.届いた光の赤と 青の 比は,太陽を 出た ときの 倍になる.青い光は ほとんど 散乱されて 抜け落ち,夕日は 赤く 見える.
確かめ:空気の
例題 3
太陽が
真上の
空の 光の 電場は どの 向きに 振動しているか.偏光板の 透過軸を 水平面内で回すと,透過する 光の 強さは どう 変わるか.透過軸と 南北の 向きのなす角を として 答えよ.偏光板は 電場の うち透過軸に 沿う 成分だけを 通す. 一般に,入射の
向きと 視線のなす角(散乱の 角)を とする.入射光を,散乱の 面(入射の 向きと 視線を 含む 面)に 垂直な 電場を もつ光と,散乱の 面内に 電場を もつ光の,同じ 強さの2つに 分けて 考え,それぞれの 散乱光の 強さの 比を 求めよ. 散乱の
角が の方向の 空を 偏光板を 通して 見る.偏光板を 回した ときの 透過光の 強さの 最大と 最小の 比を 求めよ.また,偏光度 を求めよ.
上段では,西の地平線の太陽から東へ進む光が観測者の真上の分子に当たり,散乱光が下向きに進む.散乱光の電場は南北向きで,紙面に垂直である.下段では,入射方向の延長と散乱方向のなす角Θを示し,入射光の電場を散乱面内と散乱面に垂直な2成分に分ける.⊙と⊗は紙面の手前向きと奥向きを示す.
解答を見る
考え方 分子の
入射光は
東向きに 進むので,電子は 入射の 向きに 垂直な 面,つまり 南北と 上下を 含む面の 中で 揺れる.視線は 上下の 向きなので,上下の 揺れは 観測者に 向けて 放射しない.届くのは 南北の 揺れに よる 放射だけで,真上の 空の 光の 電場は 南北に 振動する 直線偏光である.偏光板を 通るのは の成分なので,透過光の 強さは に比例する.透過軸が 南北の とき 最も 明るく,東西の とき 真っ暗に なる. 散乱の
面に 垂直な 電場で 揺れる 電子は,揺れの 向きが 視線と 常に 垂直( )なので,散乱光の強さは に比例する.散乱の 面内の 電場は 入射の 向きに 垂直なので,視線に 垂直な 成分の 大きさは 倍で,強さは に比例する.入射光の2つの 部分は 同じ 強さなので,散乱光の 強さの 比は(面に 垂直):(面内) である.2つの
部分は 位相が 無関係なので 強さを 足せ,偏光板を 回した ときの 最大は 面に 垂直な 成分だけを 通すと き,最小は 面内の 成分だけを 通すときである. では なので,最大と最小の 比は である.偏光度は
と
確かめ:
ポイント ここまでの
小さな
双極子の 放射は,軸の 向きに0,軸に 垂直な 向きに 最大で, , .受信アンテナは届く 電場の 向きに そろえる. レイリー散乱では
青は 赤の 約6倍強く 散乱される.道のりが 長いと の指数が 大きくなり,夕日では 青が ほとんど 抜け落ちる. 散乱光の
偏光は,入射光を 散乱の 面に 垂直な 部分と 面内の 部分に 分けると 分かる.強さの 比は で, の方向で 完全な 直線偏光に なる.