問いしるべ
問いから始める物理 電流と回路

電流と回路

充放電と回路の切り替えの演習

著者:柚木芹香

直後・十分後を区別し,孤立部分の電荷を符号つきで数えてください.電源も収支に入れます.

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

容量 C=5.0μF のコンデンサーの電圧は初め Vi=2.0V である.時刻0に抵抗 R=40kΩ を介し,同極性の理想電源 E=4.0V につなぐ.電圧を v,正極板へ入る電流を I とする.

  1. 回路の式から v(t),I(t) を求め,直後と十分後の値を示せ.

  2. v=3.0V になる時刻を求めよ.回路の大きさ ℓ=3.0m,光の速さ c=3.0×108ms−1 として,集中定数回路の条件も確かめよ.

初期電圧V_i = 2.0 VのコンデンサーCを,抵抗Rとスイッチを介して起電力ℰ = 4.0 Vの電源につなぐ.電源の正極と初めの正極板を同じ側に示す. 初期電圧V_i = 2.0 VのコンデンサーCを,抵抗Rとスイッチを介して起電力ℰ = 4.0 Vの電源につなぐ.電源の正極と初めの正極板を同じ側に示す.
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考え方
初期電圧を使って微分方程式を解く.

  1. I=Cdvdt,E=RI+v より,d(E−v)dt=−(E−v)/(RC).積分すると ln⁡[(E−v)/(E−Vi)]=−t/(RC).したがって,τ=RC=0.20s として

v=E−(E−Vi)e−t/τ,I=E−ViRe−t/τ.

直後は v=2.0V,I=5.0×10−5A,十分後は v=4.0V,I=0.

  1. e−t/τ=1/2 より t=τln⁡2≈0.14s.伝わる時間は ℓ/c=1.0×10−8s,比 ℓ/(cτ)=5.0×10−8 が十分小さく,伝わりの遅れを無視できる.

演習 2

オリジナル ★★☆☆☆

未充電のコンデンサー C を,抵抗 R>0 を介して一定起電力 E の理想電源で充電する.渡った電荷を q とする.

  1. 電圧が E/2 に達するまでの電源の仕事 W,蓄積エネルギー U,ジュール熱 QJ を求めよ.

  2. 十分後の3量を求め,電流から求めた発熱とも比較せよ.抵抗を小さくするだけで発熱を減らせるか.

起電力ℰの電源,抵抗R,未充電のコンデンサーCを直列につなぐ.電源からコンデンサーへ渡る電荷qの向きを示す. 起電力ℰの電源,抵抗R,未充電のコンデンサーCを直列につなぐ.電源からコンデンサーへ渡る電荷qの向きを示す.
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考え方
電源の仕事と蓄積エネルギーの差を熱として数える.

  1. q=CE/2 より,W=Eq=CE2/2.U=q2/(2C)=CE2/8 だから,QJ=W−U=3CE2/8.

  2. 十分後は q=CE,W=CE2,U=CE2/2,QJ=CE2/2.回路の式 RCdqdt+q=CE を微分すると RCdIdt=−I.I(0)=E/R より I=Ee−t/(RC)/R.よって

∫0∞RI2dt=E2R∫0∞e−2t/(RC)dt=CE22.

発熱は R によらない.R→0 では ℓ/(cRC) が増え,集中定数近似が破れる.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

容量が未知のコンデンサーに抵抗 R=2.0MΩ と内部抵抗 RV=1.0MΩ の電圧計を並列につなぎ,電源を外して放電させた.読みは次のとおりで,他の漏れはない.

t

0s

2.0s

4.0s

6.0s

v

8.0V

4.0V

2.0V

1.0V

  1. y=ln⁡[v(t)/v(0)] を縦軸にすると直線になることを示し,時定数と容量を求めよ.

  2. 電圧計の影響を無視して求めた容量は,真の容量の何倍か.

容量が未知のコンデンサーに抵抗R = 2.0 MΩと内部抵抗R_v = 1.0 MΩの電圧計を並列につなぐ.電源を外した放電回路である. 容量が未知のコンデンサーに抵抗R = 2.0 MΩと内部抵抗R_v = 1.0 MΩの電圧計を並列につなぐ.電源を外した放電回路である.
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考え方
電圧計も放電の経路になる.対数で直線化する.

  1. 合成抵抗は Rp=RRV/(R+RV)=2/3MΩ.Cdvdt=−v/Rp を積分すると v=v(0)e−t/(RpC),y=−t/(RpC).測定値は y=0,−ln⁡2,−2ln⁡2,−3ln⁡2 なので,傾きは −ln⁡2/(2.0s),τ=2.0s/ln⁡2≈2.9s.よって C=τ/Rp≈4.3μF.

  2. 影響を無視すると Capp=τ/R.比は Capp/C=Rp/R=1/3.RV→∞ では比が1へ近づき,補正が不要となる.

演習 4

オリジナル ★★★☆☆

容量 C,2C のコンデンサー1,2の下側極板を導線でつなぐ.下側に対する上側の初期電圧は,1が V>0,2が −V/4 である.電源を外し,時刻0に上側極板どうしを抵抗 R>0 を介してつなぐ.電流 I は1から2へ流れる向きを正とする.

  1. 直後と十分後の電圧,十分後までに抵抗を通る電荷を求めよ.

  2. 電流と発熱を求め,エネルギー差で検算せよ.

容量Cと2Cの下側極板を導線で結び,上側は抵抗Rとスイッチで結ぶ.下側を基準とした上側の初期電圧はVと−V/4であり,電流Iは1から2へ向かう方向を正とする. 容量Cと2Cの下側極板を導線で結び,上側は抵抗Rとスイッチで結ぶ.下側を基準とした上側の初期電圧はVと−V/4であり,電流Iは1から2へ向かう方向を正とする.
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考え方
上側全体の電荷を保存し,電圧差の減衰を追う.

  1. 直後は v1=V,v2=−V/4 のままである.上側全体の電荷は CV+2C(−V/4)=CV/2,下側は −CV/2 で,各々保存する.十分後は共通電圧 vf となり,3Cvf=CV/2 から vf=V/6.1から失われる電荷は CV−CV/6=5CV/6 である.

  2. I=(v1−v2)/R,Cdv1dt=−I,2Cdv2dt=I.w=v1−v2 とおくと dwdt=−3w/(2RC).w(0)=5V/4 から,τ=2RC/3,I=5Ve−t/τ/(4R).発熱は

QJ=∫0∞RI2dt=25V2τ32R=25CV248.

初期エネルギーは Ui=CV2/2+2C(V/4)2/2=9CV2/16,終状態は Uf=3C(V/6)2/2=CV2/24.差は 25CV2/48 で一致する.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

未充電のコンデンサー C を抵抗 R を介して充電する.理想電源の電圧を E/N,2E/N,…,E と N 段階に上げ,各段階で十分待つ.

  1. 第 k 段階の電源の仕事と発熱,全段階の仕事と発熱を求めよ.

  2. 一度に E まで充電する場合の全発熱の10分の1以下に,全段階の発熱を抑える最小の N を求めよ.全所要時間 T を固定したまま N→∞ としてよいか.

未充電のコンデンサーCを抵抗Rを介して充電する回路.電源電圧をℰ/N,2ℰ/N,…,ℰとN段階に上げ,各段階で十分待つ. 未充電のコンデンサーCを抵抗Rを介して充電する回路.電源電圧をℰ/N,2ℰ/N,…,ℰとN段階に上げ,各段階で十分待つ.
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考え方
仕事とエネルギーを段階ごとに比べる.

  1. d=E/N とおけば,第 k 段階で増える電荷は Cd,電源の仕事は Wk=(kd)(Cd)=kCd2.エネルギー増加は ΔUk=C[(kd)2−((k−1)d)2]/2=C(2k−1)d2/2.よって QJ,k=Wk−ΔUk=Cd2/2.∑k=1Nk=N(N+1)/2 より,全仕事は W=CE2(N+1)/(2N),全発熱は QJ=CE2/(2N).

  2. 一度に充電する場合の全発熱は CE2/2 であり,これに対する全段階の発熱の比は 1/N だから最小は N=10.1段階の時間を T/N とすると,残る電圧差の割合は e−T/(NRC).近似には NRC/T が十分小さい必要があり,T を固定した無限段階の極限では満たせない.W−QJ=CE2/2 は蓄積エネルギーと等しく,収支が合う.

ポイント 教える人へ

  • 電荷の連続性から直後の電圧を説明させてください.

  • 孤立部分の電荷を,負の初期電圧も含めて数えさせてください.

  • 片対数グラフの傾きと時定数を対応させてください.

  • 損失を減らす段階充電には時間が必要であることを問うてください.