確率振幅から組み立てる量子力学(発展)
スピンの測定と回転の演習
著者:柚木芹香
装置の
演習 1
スピン1/2の
最初の
フィルターを 通る 個数の 期待値を 求めよ. 次の
装置の の出口に 来る 個数の 期待値と,入射集団に 対する 割合を 求めよ.
無偏極の16000個をz方向の正のフィルターへ送り,負の出口を閉じる.続いてθ=2π/3の装置で分析する.最後の出口には状態名だけを示す.
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考え方 最初の
確率は
なので 個である. , .絶対値の2乗から確率は ,個数は 個,割合は である.最後の2出口の和が 個となり,最初の 選別に よる 減少と 整合する.
演習 2
中間装置の
だけを通すと き,最後まで 通る 確率と,それを 最大に する 角を 求めよ. 中間装置の2本を,経路の
記録も 相対位相の 変化も 残さず 再結合する ときの 確率を 求めよ. 中間装置で
両結果を 記録し,全粒子を 最後の 装置へ 送る 場合の 確率を 求めよ.記録は 読み出さなくても 残っているとします.
初期状態は|+⟩で,最後はzの負だけを通すフィルターである.中間の角θの装置について,正だけの選別,記録なしの再結合,両結果の記録を別々の配置に示す.
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考え方 中間の2経路が
とおく. , より通過確率は .最大値は ,角は である.負の
中間経路では , .2経路の振幅の 和は なので通過確率は0である. 記録が
残る 経路の 確率を 足すと である. ではすべて0で,中間装置を 入れただけで 必ず透過が 増えるわけではない ことも 確かめられる.
演習 3
ある
0.600 | 0.400 | 0.200 |
を の1次式にし, を求めよ. の予測値を 求めよ.同じ模型で 中間の 測定値が だったなら,両端の測定値と 両立するか.
割合qの|+⟩と残りの|−⟩からなる混合集団を角θの分析装置へ送る.入射個数を別に数え,正の出口の検出器に効率ηを付す.
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考え方 混合の2成分には
真の
通過確率は .よって
両端の
に代入して .両端が同じなら 中間は 必ず なので, とは両立しない.一定効率の 混合模型を 見直す 必要が ある.推定値が に入ることも 確かめられる.
演習 4
状態を
で
両操作が
任意の 状態の 確率の 和を 保つ ことを 示せ. に対して, の後に を作用させる 場合と,逆順の 場合の 最終状態を 求めよ. にある 確率で 順序を 区別せよ.
zとyの回転軸を示す.|+⟩に対してRᵧ(π/2)とR𝓏(π/2)を逆順に作用させる2配置を並べ,各配置の最後にy方向の正を選別する分析装置を置く.
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考え方 先に
入力を
とすると, の出力は .2成分の絶対値の2乗の 和は,交差項が 消えて . は各成分に 絶対値1の 因子を 掛けるので 同じ和を 保つ. の後に なら出力列は で,状態は .したがって確率は1である.逆順なら . への振幅は ,確率は である.全体の位相は 確率に 影響しないが,順序は 相対位相を 変える.いずれも 出力の 確率の 和は1である.
演習 5
を求め, を比較せよ. 回転後の
ビームだけを 取り出して スピンを 測る 場合と 比べ, 回転の符号を どう 検出しているか 説明せよ.
初期状態|+⟩を等しい2経路に分け,一方にRᵧ(θ)を作用させる.他の位相差は0にそろえる.再結合器の出口A,Bを示す.
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考え方 各出口の
とおけば,Aの成分は ,Bは .したがって , . では となり , では となり . は単位行列である. 単独の
状態 と はすべての スピン測定で 同じ 確率を 与える.干渉計では 一方だけの 符号変化が2経路間の 相対位相 となる ため検出できる. である.この理想化には,経路間の 位相の 揺らぎの 幅が1より 十分 小さい ことが 必要である.
ポイント 教える
フィルターの
通過確率と,通過後の 集団に 対する 確率を 分けて 問います. 途中の
記録を 読まない ことと,記録が 存在しない ことの 違いを 説明させます. 行列の
作用順序を 列に 掛けて 確かめ,全体の 位相と 相対位相を 区別させます. 測定値が
合わない ときは,混合の 割合と 検出効率の どちらを 変えればよいかを 考えさせます.