ゆらぎと拡散(発展)
第18章のまとめ
著者:柚木芹香
この
定義と 法則
法則 ランダムウォークと
各歩が
互いに 独立で,1歩の 平均が0である 歩(1歩の長さ )の酔歩では , .交差項 ( )が平均して 消えるからで,広がりは にしか 比例しない.向きまで 等方的なら3次元の1成分は .偏った歩では 足し算できるのは 分散だけで である.独立な
量の 和では分散が 足し算に なる: . 個の和の 標準偏差は , 個の平均の 標準偏差は である.液体中の
粒も 熱平衡の 一員で .移動度 ( )を使うとアインシュタインの 関係 が成り 立つ.球では .この式から アボガドロ数が 測れる(ペラン).これは の式で, より短い間隔では 弾道 運動に なり,見かけの 速度は1成分の に近づく.
法則 平均自由行程と
衝突断面積
,数密度 のとき,平均自由行程は (標的を静止と みなす模型.同種の 硬球では ),衝突の平均の 間隔は .室温1気圧の空気で , .液体にはこの 考え方を 使えない. フィックの
法則 .気体では で,広がりは .保存則
と合わせて拡散方程式 .断面積 の管の 原点に 個を置いた解は 幅 の釣鐘形 . は数密度なので, を落とすと が合わない. アインシュタインの
関係 .閉じた容器の 熱平衡で ドリフトと 拡散が つり合う ことから 出るので,気体でも 液体でも 成り 立つ.流束が0に なるのは 熱平衡の ときで,定常でも 外から 濃度を 保てば 流れ続ける.
法則 熱伝導と
フーリエの
法則 ,ニュートンの粘性法則 (面より速い側が 遅い側を 流れの 向きに 引く 力. 方向の運動量の 向きの流束は ).気体では
( は1分子あたりの熱容量), . を入れると 数密度が 消え,どちらも 圧力に よらない. 拡散・熱伝導・粘性は,運ぶ量が
粒子数・ エネルギー・ 運動量と 違うだけの 同じしくみで,係数は どれも に「運ばれる量の 密度」を 掛けた 形である. 圧力に
よらないのは のときだけ. が遷移で, の自由分子の 領域では 熱流が 圧力に 比例して 減る(真 空 断熱).
法則 熱放射
キルヒホッフの
法則:同じ 温度・ 同じ 波長で 吸収率と 放射率 は等しい.よく 吸う 面は よく 放射する. シュテファン・ボルツマンの
法則:黒体の 表面からは 単位面積あたり ( ).温度 の大きな 等温の 環境に 囲まれた 灰色体の 正味は .ウィーンの
変位則: .室温なら赤外,太陽の 表面なら 可視光.波長ごとの 分布を 与える プランク則は 量子論の 出発点に なった. 温度差が
小さければ 線形化して , .室温では ほどで,自然対流の と同じ桁である. 放射を
受けて 放射する 物体は,出入りが つり合う 温度に 落ち着く.受ける 面積と 放射する 面積の 違いに 注意する.
手順
ポイント ゆらぎと
で
たらめな 量の 和が 出てきたら,平均と 分散を 分けて 考える.独立なら 分散を 足す.和か 平均かで 倍か 倍かが変わる. 広がりを
問われたら,まず (3次元なら )を立て, を か で求める.時間と 距離は で結ぶ. 気体の
微視的な 量を 出すときは , から始める.圧力や 温度を 変えたら, , で追う. 定常の
問題(時間変化なし)では,流れが 一定である ことを 使う.平板なら 直線分布,球対称なら ,円筒なら の形に なる. 熱なら
の熱抵抗に して,直列・並列で 組み合わせる.温度差が 電圧,熱流が 電流に あたる. 真
空や 高温の 問題では 放射を 忘れない.まず を書き,温度差が 小さければ にして 対流の や伝導の 熱抵抗と 並べて 比べる. 結果が
成り 立つ範囲を 確かめる. が容器より 小さいか,観測の 時間が より長いか,線形化してよい ほど 温度差が 小さいかを 見る.
主な 公式
ランダムウォーク:
, ,二項分布の標準偏差 ブラウン
運動: , ,平均自由行程:
,拡散:
, , ,球への取り込み 熱伝導:
, ,円筒は ,熱拡散率粘性:
,熱放射:
, , , ,惑星の平衡温度
各題材の 問いへの 答え
ブラウン運動と
ランダムウォーク:粒を 動かし続けているのは,周りの 水の 分子が ぶつかる 回数の ゆらぎである.左右の 回数は 平均すれば 同じだが,差は 程度残る.粒が離れる 距離は 時間に 比例せず, と時間の 平方根に 比例する. 拡散:インクの
分子は 秒速数百メートルで 動いていても,周りの 分子に ぶつかって すぐ 向きを 変える ランダムウォークを している.広がりは にしかならず,水中の (実測値)では に半日ほど かかる.空気の という 自由行程は 液体に 使えないので,液体では 測った から出発する.に おいが すぐ 届くのは,拡散ではなく 空気の 流れが 運ぶからである. 熱伝導と
粘性:空気を 半分抜いても 熱の 伝わりは 半分に ならない.運び手が 半分に なるかわりに 平均自由行程が2倍に なり,打ち消し合うからである.魔法瓶が 効くのは, が二重壁の 隙間を 超える ところまで 圧力を 下げてあり,そこから 先は 熱流が 圧力に 比例して 減る ためである. 熱放射:真空を
渡った 熱は 電磁波である.魔法瓶は 向かい合う 両面を 低い 放射率の 鏡に して 正味の 放射を 数十分の1に 落として あり,それでも 残る ほどで何時間かかけて 冷める.地球の 温度は,受ける 放射と 宇宙へ出す放射の つり合いで 決まり,アルベド なら .実際の地表が これより 高いのは,大気が 赤外線を 吸収して 返すからである.
この 章で 使った 数学
平均と