問いしるべ
問いから始める物理 波と音

波と音

波の重ね合わせとうなりの演習

著者:柚木芹香

変位や圧力を符号つきで足し,放射時刻と受信時刻を区別してください.

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

長い弦を速さ v で進む2つの三角形パルスがあります.時刻0に,右向きのパルスの中心は −2d,高さは A,左向きのパルスの中心は 2d,高さは −A/2 です.幅はともに 2d,外側の変位は0です.A/d は十分小さいとします.

  1. t=2d/v と t=3d/v の合成波形を描け.

  2. 重なって高さが減ると,通過後もパルスが弱まるか.

時刻0の三角形パルスの中心は−2dと2dで,高さはAと−A/2,幅はともに2dである.二つのパルスは速さvで互いに向かって進む. 時刻0の三角形パルスの中心は−2dと2dで,高さはAと−A/2,幅はともに2dである.二つのパルスは速さvで互いに向かって進む.
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考え方 各パルスを平行移動して足す.

  1. 中心は −2d+vt,2d−vt.t=2d/v では両中心が0なので高さを足して,中心0,高さ A−A/2=A/2,幅 2d の三角形になる.t=3d/v では中心が d,−d に移る.区間 [−2d,0] に中心 −d,高さ −A/2,区間 [0,2d] に中心 d,高さ A の三角形を描く.

  2. 意味しない.線形な波動方程式では各パルスが独立に進み,元の形と高さを保つ.変位だけでエネルギーの消失を判断できない.A/d が小さいことが弦の線形近似を保証する.

演習 2

オリジナル ★★☆☆☆

同じ向きへ進む2つの音を固定マイクで記録し,低い方は f1=400Hz でした.圧力振幅は A1>A2>0 とし,振動数は近く,時刻0で同位相です.表は合成圧力の振幅 B の極大・極小を交互にすべて記録したものです.

t(s)

0

0.125

0.250

0.375

B(Pa)

0.50

0.10

0.50

0.10

  1. f2,A1,A2 を求めよ.

  2. 複素振幅から B2(t) を求め,強さの最大値と最小値の比を求めよ.

固定マイクと,合成圧力の振幅Bの四つの観測点を示す.時刻0,0.125,0.250,0.375 sで,Bは順に0.50,0.10,0.50,0.10 Paである. 固定マイクと,合成圧力の振幅Bの四つの観測点を示す.時刻0,0.125,0.250,0.375 sで,Bは順に0.50,0.10,0.50,0.10 Paである.
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考え方 極大の間隔がうなりの周期で,最小振幅は振幅の差である.

  1. f2−f1=1/(0.250s)=4.0Hz なので f2=404Hz.A1+A2=0.50Pa,A1−A2=0.10Pa より A1=0.30Pa,A2=0.20Pa.

  2. 圧力を eiω1t[A1+A2ei(ω2−ω1)t] の実部で表す.角括弧の絶対値を二乗すると

B2=A12+A22+2A1A2cos⁡[2π(f2−f1)t]

となる.同じ媒質で強さは B2 に比例するため,比は (0.50/0.10)2=25.時間平均の窓は音の周期より長く,うなりの周期より短く取る.|f2−f1|/f1=0.010 が小さいので,両時間尺度を分けられる.

演習 3

東京大 2002 後期(改題) ★★☆☆☆

固定音源が振動数 f0 の音を右へ出し,速さ u で右へ動く板からの反射音を受信します.空気に対する音速を v,右向きの風速を w とし,0<w<v,0<u<v−w とします.板・受信器・風の速度はすべて地面に対するものです.板から見て反射前後の振動数は等しいとします.

  1. 板が受け取る振動数と戻る音の振動数を導け.

  2. 板より左の受信器だけを右向きに速さ 0<uo<v−w で動かす.受信振動数を求めよ.v=340ms−1,w=10ms−1,u=5.0ms−1,uo=2.0ms−1,f0=1.00×103Hz で評価せよ.

固定音源の右に反射板を置き,音の往路と復路を示す.風速w,板の速さu,板より左の受信器の速さu_oは,いずれも右向きである. 固定音源の右に反射板を置き,音の往路と復路を示す.風速w,板の速さu,板より左の受信器の速さu_oは,いずれも右向きである.
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考え方 地面に対する音速は往路で v+w,復路で v−w になる.板を観測者,次に音源として扱う.

  1. 往路の波長は λ+=(v+w)/f0.板に波面が追いつく相対速度は v+w−u なので,fm=f0(v+w−u)/(v+w).反射音の波面は間隔 1/fm で板から出て,復路の波長は λ−=(v−w+u)/fm.固定受信器では

fr=v−wλ−=f0v+w−uv+wv−wv−w+u

となる.

  1. 左へ来る波面との相対速度は v−w+uo だから,fo=f0v+w−uv+wv−w+uov−w+u.数値では fo=1000×(345/350)×(332/335)Hz=977Hz.u=uo=0 なら風があっても fo=f0 に戻る.速度について近似していない.

演習 4

オリジナル ★★★☆☆

静止した空気中で,音源が半径 a,角速度 Ω で円運動し,振動数 f0 の音を出します.中心を原点,観測者を (D,0)(D>a)とし,放射時刻 te の音源の位置は (acos⁡Ωte,asin⁡Ωte) です.音速は v,aΩ<v とします.

  1. 受信時刻 tr と te の関係から受信振動数を導け.

  2. 最大・最小の受信振動数と,最近点からの音の到達時刻・振動数を求めよ.時刻0に最近点を通ります.

半径aの円軌道上の放射位置と角Ωt_eを示す.観測者は中心から距離Dの位置にあり,音源の放射位置から観測者へ音が進む. 半径aの円軌道上の放射位置と角Ωt_eを示す.観測者は中心から距離Dの位置にあり,音源の放射位置から観測者へ音が進む.
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考え方 位相は放射時刻で決まり,その進む速さを受信時刻で求める.

  1. R=D2+a2−2Dacos⁡Ωte とすれば tr=te+R/v.dRdte=DaΩsin⁡Ωte/R より

fr=f0dtedtr=f01+DaΩsin⁡Ωte/(vR)

である.分母は正で両時刻は一対一に対応する.

  1. dR/dte は速度の視線方向成分である.絶対値は aΩ 以下で,観測者から引いた接線の接点では速度と視線が平行となり等号が成り立つ.よって fmax=f0v/(v−aΩ),fmin=f0v/(v+aΩ).te=0 で出た音は tr=(D−a)/v に届き,この音の dR/dte=0 なので fr=f0.aΩ/v→0 では両極値も f0 に戻る.音の瞬時振動数には,Ω/(2πf0) の小ささも前提とする.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

飛行機が高さ H を保ち,音速 v より大きい速さ u で水平に飛びます.遠い過去から等速飛行し,地上の観測者の真上を時刻0に通ります.風はありません.衝撃波の円錐の半頂角を α とします.

  1. マッハ円錐の幾何から sin⁡α=v/u と衝撃波の到達時刻を求めよ.H=1.50×103m,u=680ms−1,v=340ms−1 で評価せよ.

  2. 放射時刻 te の音の到達時刻を最小にすることで,最初に届く音の放射時刻を求めよ.

時刻0に飛行機は高度Hで観測者の真上にあり,右向きに速さuで飛ぶ.後方の円錐の半頂角αを模式的に定義する. 時刻0に飛行機は高度Hで観測者の真上にあり,右向きに速さuで飛ぶ.後方の円錐の半頂角αを模式的に定義する.
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考え方 音の球面波の包絡面がマッハ円錐になり,最初に届く音が衝撃波を作る.

  1. 時間 Δt 前に出た球面波の半径は vΔt,機体の移動距離は uΔt.接する円錐との直角三角形より sin⁡α=v/u.到達時は tan⁡α=H/(utr) なので tr=Hu2−v2/(uv)=3.82s である.

  2. tr=te+H2+u2te2/v を微分して,1+u2te/(vH2+u2te2)=0.負の根は te=−Hv/(uu2−v2)=−1.27s.二階微分は u2H2/[v(H2+u2te2)3/2]>0 だから最小である.代入すると(1)の時刻に一致する.真上からの音の所要時間 H/v とは異なり,この模型には u/v>1 が必要である.

ポイント 教える人へ

  • 重なる時刻の波形と,通過後の各パルスの形を別々に描かせる.

  • うなりの山と谷の間隔を周期と取り違えないか確かめる.

  • 速度が地面,空気,反射板のどれに対するものかを問う.

  • 放射時刻を図に記し,受信時刻へ直させる.