問いしるべ
問いから始める物理 熱力学の法則

熱力学の法則

温度と熱量の演習

著者:柚木芹香

熱量保存と相の残存を確かめましょう.「度」は摂氏,比熱は一定とし,水の比熱は c=4.2×103Jkg−1K−1 とします.

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

金属の比熱は 9.0×102Jkg−1K−1,モル質量は M=0.027kgmol−1 です.試料 0.054kg の熱容量,物質量,モル比熱を求めてください.10K 温める熱量は質量が2倍ならどうなりますか.

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考え方

質量あたりと物質量あたりの比熱を,熱容量に換算する.

C=mc≈49JK−1,ν=m/M=2.0mol,Cmol=Mc≈24Jmol−1K−1,C=mc=νCmol.吸熱は Q=CΔT≈490J.質量が2倍なら比熱は同じで,熱容量と吸熱は2倍になる.

演習 2

オリジナル ★☆☆☆☆

熱容量 210JK−1 の30度の空の熱量計へ,15度の水 0.15kg と75度の湯 0.10kg を同時に入れます.熱損失はありません.最終温度と,熱量計の熱容量を無視した答えのずれを求めてください.

15 °Cの水0.15 kgと75 °Cの湯0.10 kgを,30 °Cの空の熱量計に同時に入れる.熱量計の熱容量は210 J K⁻¹であり,断熱された混合後の水と容器は同じ最終温度θ_fになる. 15 °Cの水0.15 kgと75 °Cの湯0.10 kgを,30 °Cの空の熱量計に同時に入れる.熱量計の熱容量は210 J K⁻¹であり,断熱された混合後の水と容器は同じ最終温度θ_fになる.
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考え方

水・湯・熱量計の熱量を,符号つきで足す.

最終温度を θf 度とすると,630(θf−15)+210(θf−30)+420(θf−75)=0 より37.5度.容器を無視すると39度,1.5度高い.初温が異なるため,水と容器の温度変化は別に数える.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

熱容量を無視できる断熱容器の −20∘C の氷 m=0.10kg を,1気圧のもと電力 P=50W で100度まで加熱します.氷の比熱は ci=2.1×103Jkg−1K−1,融解熱は Lf=3.3×105Jkg−1 です.各区間の時間と加熱曲線,傾きと水平区間から物性値を求める式を書いてください.熱損失が室温との温度差に比例すると,室温以上で曲線が寝る理由も説明してください.

0.10 kgの氷を50 Wで加熱する理想曲線は,−20 °Cから84 sで0 °Cに達し,744 sまで融解のため水平になり,1584 sで100 °Cに達する.横軸の時間と縦軸の温度は比例目盛りである.橙の破線は室温を超えた後に熱損失で傾きが減る様子を示す模式線であり,室温の位置とその後の温度は数値を指定しない. 0.10 kgの氷を50 Wで加熱する理想曲線は,−20 °Cから84 sで0 °Cに達し,744 sまで融解のため水平になり,1584 sで100 °Cに達する.横軸の時間と縦軸の温度は比例目盛りである.橙の破線は室温を超えた後に熱損失で傾きが減る様子を示す模式線であり,室温の位置とその後の温度は数値を指定しない.
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考え方

昇温と融解を分け,各区間で投入熱を数える.

PΔt=CΔT と PΔt=mLf より,氷の昇温は mci20/P=84s,融解は mLf/P=6.6×102s,水の昇温は mc100/P=8.4×102s.84秒で0度,744秒まで水平,1584秒で100度.傾きは氷で P/(mci),水で P/(mc).傾き a,水平区間の長さ τ から,比熱は P/(ma),融解熱は Pτ/m.室温以上では温度とともに熱損失の熱流率が増え,昇温に使える電力が減る.

演習 4

オリジナル ★★☆☆☆

20度の水 0.20kg に100度の蒸気を吹き込みます.蒸気を逃がさず,可動ふたで1気圧に保つ断熱装置を使い,装置の熱容量は無視します.蒸発熱は Lv=2.3×106Jkg−1 です.投入量が (1) 0.010kg,(2) 0.040kg の場合の最終温度と残る蒸気の質量を求めてください.

20 °Cの水0.20 kgに100 °Cの蒸気を入れる断熱容器は,可動ふたによって1気圧に保たれる.投入蒸気0.010 kgでは全量が凝縮して約50 °Cの水になる.投入蒸気0.040 kgでは水と蒸気が100 °Cで共存し,蒸気が約0.011 kg残る.装置の熱容量は無視する. 20 °Cの水0.20 kgに100 °Cの蒸気を入れる断熱容器は,可動ふたによって1気圧に保たれる.投入蒸気0.010 kgでは全量が凝縮して約50 °Cの水になる.投入蒸気0.040 kgでは水と蒸気が100 °Cで共存し,蒸気が約0.011 kg残る.装置の熱容量は無視する.
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考え方

水を100度にする熱量と,全蒸気の凝縮熱を比べる.

水を100度にする熱量は Q∗=0.20c×80=67200J.凝縮量 Q∗/Lv≈0.029kg を境に場合が分かれる.

  1. 全て凝縮し,凝縮水も冷える.最終温度を θf 度とすると 0.20c(θf−20)=0.010Lv+0.010c(100−θf) より約50度で,蒸気は残らない.

  2. 100度で共存し,凝縮量は約 0.029kg,残る蒸気は 0.040−0.029≈0.011kg.全量凝縮と仮定すると沸点を超えるが,共存中は昇温しない.可動ふたの体積仕事を含む定圧の潜熱で収支を立てた.

演習 5

オリジナル ★★☆☆☆

AとC,Bと同じCが熱平衡なら,AとBの接触で熱は移りますか.0度で0,100度で1に正規化した測温物性 X,Y を等分し,表示を 100X,100Y とする温度計があります.同じ50度の物体で X=0.50,Y=0.25 なら表示を比較してください.50度と温度差20度をKで表してください.定積の薄い気体で p100/p0=1.3661 なら,圧力の直線外挿が0になる摂氏温度も求めてください.

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考え方

熱平衡には第零法則,温度計の比較には目盛りを使う.

第零法則よりAとBも熱平衡で,正味の熱移動はない.表示は50度と25度.2定点の一致では途中の一致は保証されず,目盛りの違いである.摂氏温度 θ に対し T/K=θ/∘C+273.15 より 323.15K,温度差は 20K.圧力0の外挿温度は −100/(1.3661−1)≈−273.15 度.実在気体は凝縮もするので,薄い気体の極限の直線を外挿する.

演習 6

オリジナル ★★★☆☆

20度の熱量計と水 0.10kg に80度の湯 0.050kg を混ぜると38度になりました.校正では熱損失はありません.同じ熱量計と新しい20度の水 0.10kg に100度の金属球 0.20kg を入れると,混合の30秒後に30.0度,60秒後に29.4度でした.混合は十分速く,直後の冷却は直線で近似します.熱量計の熱容量,外挿で補正した金属の比熱,30.0度を使った比熱を求めてください.

混合の30 s後に30.0 °C,60 s後に29.4 °Cを測定する.二つの点を通る直線を混合時刻t=0まで外挿すると,補正温度θ_f=30.6 °Cを得る.直線の傾きは−0.020 K s⁻¹であり,短時間の冷却を直線で近似する. 混合の30 s後に30.0 °C,60 s後に29.4 °Cを測定する.二つの点を通る直線を混合時刻t=0まで外挿すると,補正温度θ_f=30.6 °Cを得る.直線の傾きは−0.020 K s⁻¹であり,短時間の冷却を直線で近似する.
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考え方

湯と水の熱収支で校正し,冷却直線を混合時刻まで外挿する.

熱容量 C計 は (420+C計)18=210×42 より C計=70JK−1.水と合わせて 490JK−1.冷却の傾きは −0.020Ks−1,混合直後は 30.0+0.020×30=30.6 度.金属の放熱と水・容器の吸熱を等置して

c金属=490×10.60.20×69.4≈3.7×102Jkg−1K−1.

未補正では 490×10.0/(0.20×70.0)=350Jkg−1K−1 と小さく出る.外挿は短時間の冷却の近似である.

ポイント 教える人へ

熱を受け取る物体を挙げさせ,熱容量と比熱を単位で区別させてください.潜熱は共存温度までの熱量から判定させます.凝縮水の熱容量,校正での容器の熱容量を落とさないかが理解の目安です.