問いしるべ
問いから始める物理 熱力学の法則

熱力学の法則

熱機関と第二法則の演習

著者:柚木芹香

熱と仕事の向きを描き,第一法則と第二法則を確かめてください.QH,QL は吸収・放出する熱の正の大きさ,冷凍機への投入仕事は Win>0 とします.

演習 1

オリジナル ★☆☆☆☆

750K と 300K の熱源間の機関が,1周で高温側から 1.5×103J を受け取り,低温側へ 9.0×102J を捨てます.仕事と効率を求め,同じ吸熱での仕事の上限と比べてください.吸熱と2温度を変えず,放出熱を 4.0×102J に減らせますか.

750 K の高温熱源から1サイクルに熱 Q_H=1.5×10³ J を受け取り,300 K の低温熱源へ熱 Q_L=9.0×10² J を捨てる.仕事 W は機関から外へ出る. 750 K の高温熱源から1サイクルに熱 Q_H=1.5×10³ J を受け取り,300 K の低温熱源へ熱 Q_L=9.0×10² J を捨てる.仕事 W は機関から外へ出る.
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考え方 サイクルでは ΔU=0 なので W=QH−QL.効率をカルノー上限と比べる.

仕事W=1500−900=600J,効率η=600/1500=0.40.効率上限1−300/750=0.60,最大仕事1500×0.60=900Jに収まる.

放出熱が400JならW=1100J,効率約73 %は上限を超え第二法則に反する.

演習 2

オリジナル ★☆☆☆☆

第二法則に反する主張を選び,直接使える表現を答えてください.書かれた以外の変化は残さないとします.

  1. 単一熱源の熱を全量仕事に変え,作業物質も装置も元に戻る運転を繰り返します.

  2. 仕事なしで低温熱源から高温熱源へ熱を移し,装置は元に戻ります.

  3. 理想気体が単一熱源から熱を受け取り,等温で一度膨張して,熱と等しい仕事をします.

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考え方 装置が元に戻るか,ほかに何が変わるかを確認する.

  1. ケルビンの表現に反する:単一熱源の全熱を仕事にするサイクル.(2) 仕事なしの低温→高温の熱移動はクラウジウスの表現に反するが,第一法則を満たす.

(3)ΔU=0,Q=Wでも体積が戻らず,違反なし.圧縮も含む単一熱源サイクルの正の正味仕事が禁じられる.

演習 3

オリジナル ★★☆☆☆

単原子分子の理想気体 νmol が,TH=600K,TL=150K の間でカルノーサイクルを回ります.高温でAの体積 V0 からBの 2V0 まで等温膨張し,続く断熱膨張の終点をC,低温での等温圧縮の終点をDとします.

  1. γ=5/3 を使い,CとDの体積を求めてください.

  2. QH,QL,W,η を求め,2つの断熱過程の仕事の和も説明してください.

600 K の高温等温線上で A の体積 V_0 から B の体積 2V_0 まで膨張し,熱 Q_H を受け取る.B→C は断熱膨張,C→D は150 K の等温圧縮で熱 Q_L を放出,D→A は断熱圧縮である.時計回りの模式図で,体積と圧力の縮尺は表していない. 600 K の高温等温線上で A の体積 V_0 から B の体積 2V_0 まで膨張し,熱 Q_H を受け取る.B→C は断熱膨張,C→D は150 K の等温圧縮で熱 Q_L を放出,D→A は断熱圧縮である.時計回りの模式図で,体積と圧力の縮尺は表していない.
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考え方 断熱線では TVγ−1 一定,等温線では仕事を対数で計算する.

  1. 断熱で温度1/4,体積43/2=8倍:VC=16V0.D→Aも:VD=8V0,VC/VD=2.

(2)QH=νRTHln⁡2,QL=νRTLln⁡2よりW=QH−QL=νR(TH−TL)ln⁡2,η=3/4.断熱仕事は膨張νCV(TH−TL),圧縮は負値で和は0.

演習 4

オリジナル ★★☆☆☆

280K と 320K の間で動く冷凍機に,1サイクルあたり 240J の仕事を投入すると,低温側から 960J の熱を取り出せます.

  1. 放出熱,冷凍機とヒートポンプの成績係数を求め,上限と比べてください.

  2. 同じ2温度で,高温側へ同じ熱量を渡す可逆なヒートポンプなら,投入仕事はいくらですか.

冷凍機は280 K の低温熱源から熱 Q_L=960 J を受け取り,外から正の投入仕事 W_in=240 J を受ける.320 K の高温熱源へ捨てる熱は Q_H=Q_L+W_in である. 冷凍機は280 K の低温熱源から熱 Q_L=960 J を受け取り,外から正の投入仕事 W_in=240 J を受ける.320 K の高温熱源へ捨てる熱は Q_H=Q_L+W_in である.
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考え方 外へする仕事は W=−Win なので,第一法則は QH=QL+Win となる.

(1)QH=960+240=1200J.成績係数(冷凍機,暖房)は960/240=4.0,1200/240=5.0.上限280/(320−280)=7.0,320/(320−280)=8.0以下.低温側の熱も使う暖房は冷房より1大きく,1超でもエネルギー保存に反しない.

  1. 可逆ならWin=1200/8.0=150J.吸熱1050J,同じ暖房で仕事を90J減らせる.

演習 5

オリジナル ★★★☆☆

熱容量 C(T)=aT,a=2.0JK−2 の物体を T0=600K から Tf=400K まで冷やし,温度一定の熱源 TL=300K との間で機関を動かします.物体は仕事をせず,機関以外とは熱を交換しません.最大仕事,放出熱,取り出した熱のうち仕事になる割合を求めてください.

熱容量 C(T)=aT の物体を600 K から400 K まで冷やし,300 K の低温熱源との間で機関を働かせる.物体から熱 Q_H を受け取り,低温熱源へ熱 Q_L を捨て,外へ仕事 W を出す.冷却中は温度と熱容量の両方が変わる. 熱容量 C(T)=aT の物体を600 K から400 K まで冷やし,300 K の低温熱源との間で機関を働かせる.物体から熱 Q_H を受け取り,低温熱源へ熱 Q_L を捨て,外へ仕事 W を出す.冷却中は温度と熱容量の両方が変わる.
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考え方 各段階で可逆機関を働かせる.温度と熱容量が変わるので,最初の効率を全熱量に掛けない.

吸熱QH=∫TfT0aTdT=a(T02−Tf2)/2=2.0×105J,最大仕事

Wmax=∫TfT0(1−TLT)aTdT=QH−aTL(T0−Tf)=8.0×104J

放熱QL=QH−Wmax=1.2×105J,仕事の割合Wmax/QH=0.40はカルノー効率50 %→25 %の範囲内.

演習 6

オリジナル ★★★☆☆

単原子分子の理想気体が,p-V 図でA(V0,p0)→B(V0,10p0)→C(5V0,2p0)→D(5V0,p0)→Aを準静的に回ります.BCは直線,DAは等圧で,体積仕事だけを考えます.

A(V₀,p₀),B(V₀,10p₀),C(5V₀,2p₀),D(5V₀,p₀)を時計回りに結ぶ台形サイクル.BCの直線上でV=15V₀/4を境に吸熱から放熱へ切り替わる.ABとBCの前半は吸熱,BCの後半とCDとDAは放熱.囲む面積は正味の仕事Wに等しい. A(V₀,p₀),B(V₀,10p₀),C(5V₀,2p₀),D(5V₀,p₀)を時計回りに結ぶ台形サイクル.BCの直線上でV=15V₀/4を境に吸熱から放熱へ切り替わる.ABとBCの前半は吸熱,BCの後半とCDとDAは放熱.囲む面積は正味の仕事Wに等しい.
  1. v=V/V0 を用い,BCの圧力,δQ,吸放熱の切替体積を求めてください.

  2. 全吸熱と効率を求め,各辺の正味熱の正値だけを分母に足した誤った効率と比べてください.

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考え方 δQ=dU+pdV の正の部分だけを積分し,吸熱を数える.

  1. p=2p0(6−v),U=3pV/2=3p0V0v(6−v)より

δQ=p0V0(30−8v)dv.

v=15/4の前は吸熱,後は放熱.切替体積15V0/4.

(2)p0V0単位:BC吸熱∫115/4(30−8v)dv=121/4,放熱−∫15/45(30−8v)dv=25/4,正味24.AB吸熱3(10−1)/2=27/2,CD放熱3⋅5(2−1)/2=15/2,DA放熱5(5−1)/2=10.計

Q吸収=1754p0V0,Q放出=954p0V0.

台形面積W=(9+1)⋅4p0V0/2=20p0V0=熱の差.効率η=20/(175/4)=16/35≈0.46.辺の正味吸熱なら分母(27/2+24)p0V0,効率20/(27/2+24)=8/15≈0.53はBCの放熱を吸熱から引く過大値.

ポイント 教える人へ

  • 第一法則と効率の上限を分けて確認し,一度限りの膨張とサイクルの違いを説明させます.

  • 冷凍機とヒートポンプの成績係数を,図から求めさせます.

  • 有限熱源では温度ごとに仕事を積分し,経路内の吸放熱は δQ の符号で分けます.