問いしるべ
問いから始める物理 熱力学の総合演習

熱力学の総合演習

東大の熱の過去問を発展させる(2)

著者:柚木芹香

引き続き東大の熱の問題を組み直します.ここでは,相変化を含むもの,微小変化を連立するもの,真空への膨張や弁の開閉のあとで不可逆に落ち着くものを集めました.近似を使う所では,どの量が何に比べて小さいのかを自分で宣言してから式を立ててください.最後まで解いたら,第16章のエントロピーの収支に戻って,どこで生成が起きたのかを言えるか確かめましょう.

総合演習 18

東京大 1996 前期(改題) ★★★★★

気体ばねの周期と,散逸後に残る変位

水平筒に,物質量 ν,モル比熱 CV,Cp=CV+R,γ=Cp/CV が一定の理想気体を封じます.断面積 A のピストンは,外圧 pe と圧縮向きの一定負荷 FL を受けます.負荷装置は仕事を可逆に蓄え,装置を含む運動の有効質量は M です.温度 T0 の平衡体積を V0,そこから膨張向きの変位を x とします.気体の慣性,漏れ,壁の熱容量を無視します.

  1. 基準圧力 P と V0,|Ax|/V0 が1より十分小さい振動の周期を求めてください.熱壁で T0 を保つ周期を Πi,断熱で散逸のない周期を Πa とし,その比を圧縮への応答から説明してください.

  2. T0 を保って Vi=(1+η)V0,η>−1 にし,壁を断熱に切り替えて初速度 u を与えます.ピストンの動きで回るプロペラの散逸仕事は全て気体に入り,最後は静止します.最終体積・温度・変位を求め,回転有効・振動凍結の二原子気体で γ=7/5,η=0.14,u=0 の温度比・体積比も計算してください.

  3. 放した直後から静止までの内部エネルギー変化と全系のエントロピー増加を求めてください.外気への仕事も理想的な機械的蓄積とします.散逸仕事の行先と,u=0 の小さい η で生成が何次から現れるかを説明してください.

外圧peと圧縮向きの一定負荷FLを受けるピストンにはプロペラの駆動が連動する.基準状態は体積V0,温度T0の平衡である.準備では温度T0を保って体積Viにし,熱壁を断熱壁に替えて初速度uを与える.最終状態は体積Vf,温度Tfで静止する.体積と位置は模式的に描く. 外圧peと圧縮向きの一定負荷FLを受けるピストンにはプロペラの駆動が連動する.基準状態は体積V0,温度T0の平衡である.準備では温度T0を保って体積Viにし,熱壁を断熱壁に替えて初速度uを与える.最終状態は体積Vf,温度Tfで静止する.体積と位置は模式的に描く.
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考え方

圧力の傾きから周期を,気体と装置のエネルギー保存から散逸後の状態を求める.内部の平衡化は運動より速く,一様な温度・圧力を定義できるとする.

  1. 力のつり合いから P=pe+FL/A,V0=νRT0/P.等温では p=P/(1+Ax/V0) より,合力は A(p−P)≃−PA2x/V0.断熱で体積仕事だけなら,比熱一定の条件で pVγ=PV0γ だから,合力は −γPA2x/V0 となる.したがって

Πi=2πMV0PA2,Πa=2πMV0γPA2,ΠiΠa=γ.

断熱圧縮では数密度に加えて分子の運動エネルギーと温度も増し,圧力上昇が大きい.等温ではそのエネルギーが熱源へ逃げ,復元力が弱い.熱移動が周期より十分速ければ等温,周期内に無視できれば断熱である.

  1. 初期運動エネルギーを Ki=Mu2/2,χ=Ki/(νRT0) とする.終状態では PVf=νRTf.外への仕事は一定負荷に対する P(Vf−Vi) なので,初終で

νCV(Tf−T0)+P(Vf−Vi)=Ki.

PV0=νRT0 を使い,z=Tf/T0=Vf/V0 とおけば

z=1+γ−1γ(η+χ),Vf=zV0,Tf=zT0,xf=V0A(z−1).

終状態は線形近似によらない.数値の場合は z=1.04,Vf=1.04V0,xf=0.04V0/A.自由度一定の温度域と壁に衝突しない範囲で有効である.

  1. ΔU=νCVT0(z−1)=Ki+P(Vi−Vf).ピストン・プロペラの運動は乱雑な分子運動に変わるが,負荷との体積仕事も U を変える.プロペラの総散逸仕事は経路に依り,ΔU そのものではない.

比熱一定の理想気体の状態量の差から

ΔS=νCVln⁡z+νRln⁡z1+η=νCpln⁡z−νRln⁡(1+η).

機械的蓄積のエントロピーは不変である.u=0 で右辺の η 微分の符号は η と一致し,最小値は η=0 の0.Ki>0 は z を増して生成を増す.u=0 では1次が消え,ΔS≃νRη2/(2γ) と2次から現れる.実際の熱 Q=0 を温度で割っても散逸による生成は求まらない.

総合演習 19

東京大 1990 前期(改題) ★★★★★

凝縮する容器と,熱源を切り替える容器

向かい合う水平シリンダーA,Bの等面積 A のピストンを,軽い断熱の剛い軸で結びます.摩擦なく動き,全気体体積は 3V∗ で一定,容器間の物質移動はありません.初めAに 2ν モルの飽和水蒸気と微量の液体,Bに ν=0.50mol のヘリウムがあり,両温度は Ts=360K です.この温度での飽和圧 ps=6.0×104Pa,モル蒸発潜熱 Lv=4.1×104Jmol−1 を与えます.Lv はモルエンタルピー差です.蒸気は理想気体,液体体積は無視し,V∗=νRTs/ps とします.ヘリウムは CV=3R/2,Cp=5R/2 が一定です.

固定壁は伝熱・断熱を切り替えられます.段階IではAを低温熱源 Ts,Bを高温熱源 3Ts に弱く接し,ゆっくり動かしてBが 2V∗ で高温熱源を外します.段階IIでは軸を固定し,Aを断熱,Bを低温熱源に接して Ts まで冷やします.熱源は理想熱源で,装置の熱容量,固定操作の仕事,力学的散逸は無視します.

  1. 段階Iの終温,蒸気量,凝縮量,Bの仕事と吸熱,Aの放熱を求めてください.水の内部エネルギー減少は凝縮量と Lv の積ですか.

  2. 段階IIの熱・仕事,軸の支持力を求め,全過程の内部エネルギー変化を2熱源の収支と照合してください.

  3. 水,ヘリウム,2熱源それぞれのエントロピー変化とその和を求めてください.同じ終状態へ進める高温熱源の温度 TH を変えると,生成はどう変わりますか.潜熱が最終式から消える理由も説明してください.

等面積の向かい合うピストンを断熱の剛い軸で結ぶ.初期体積は水側Aが2V*,ヘリウム側BがV*である.段階IではAから温度Tsの低温源へ放熱し,温度3Tsの高温源からBへ吸熱する.段階IIでは軸を固定し,Aを断熱として,Bから低温源へ放熱する.各段階で軸の長さは同じで,物質は容器間を移らない. 等面積の向かい合うピストンを断熱の剛い軸で結ぶ.初期体積は水側Aが2V*,ヘリウム側BがV*である.段階IではAから温度Tsの低温源へ放熱し,温度3Tsの高温源からBへ吸熱する.段階IIでは軸を固定し,Aを断熱として,Bから低温源へ放熱する.各段階で軸の長さは同じで,物質は容器間を移らない.
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考え方

相共存中のAの圧力がBの過程を決める.定圧の潜熱と内部エネルギー差を,圧縮仕事で結びつける.

  1. 相共存から pA=ps,軸のつり合いから pB=ps も一定.Bの体積2倍より TB,I=2Ts.Aの体積は V∗,蒸気は psV∗/(RTs)=ν モルとなり,同量が凝縮する.

WB,I=psV∗=νRTs,QB,I=νCpTs,QA,I=−νLv.

Aの WA,I=−νRTs より ΔUA,I=−ν(Lv−RTs).圧縮仕事の分だけ潜熱と異なる.Bの吸熱は約 3.7×103J,Aの放熱は約 2.1×104J である.

  1. 固定後は WB,II=0,QB,II=−νCVTs.Aの状態は不変.Bの終圧は ps/2 なので,固定具は差圧に逆らってBからAへ Aps/2 の力を出す.変位がなく固定具の仕事は0である.

ヘリウムは初温へ戻るため ΔUB=0,全体の ΔU=−νLv+νRTs.高温源からの νCpTs と低温源への νLv+νCVTs の差に等しい.容器間の仕事はIで相殺し,IIでは0である.

  1. 同温・飽和圧の可逆な凝縮より ΔSA=−νLv/Ts.初温で体積2倍のヘリウムは ΔSB=νRln⁡2.熱源は受熱を温度で割り,

ΔSH=−νCp3,ΔSL=νLvTs+νCV.

したがって

ΔS=ν(Rln⁡2+CV−Cp3)=νR(ln⁡2+23)>0.

生成は段階Iの νCp(ln⁡2−1/3) とIIの νCV(1−ln⁡2) に分かれる.水の減少と同温熱源への潜熱による増加は相殺する.

TH なら ΔS=ν[Rln⁡2+CV−CpTs/TH].到達には TH≥2Ts が必要で,等号は無限時間の極限.TH を下げると生成は減るが,下限も νR(ln⁡2+1/4)>0.Iの加熱とIIの冷却には温度差があり,ゆっくりでも不可逆である.

総合演習 20

東京大 1988 前期(改題) ★★★★★

弁の開閉と,降下する仕切板のエネルギー

断面積 A,高さ H の断熱箱を,弁のある質量 M の透熱仕切板で上下に分けます.板は気密を保って滑らかに動き,高さ H/5 のストッパーより下へ行きません.初め板はストッパー上,弁は閉じ,上室は真空,下室は ν モルの二原子理想気体です.回転有効・振動凍結で CV=5R/2,Cp=7R/2 は一定です.T∗=MgH/(5νR),初温は T∗/2 とします.箱と板の熱容量,気体の重力エネルギーを無視します.

ゆっくり加熱し,板が高さ 3H/5 で静止した所で止めます.板を固定して弁を短時間開閉し,気体の一部を真空側へ移します.固定を解除して待つと,高さ 2H/5 で静止し,両室は同温と測定されました.減衰の散逸仕事は全て気体に入り,弁操作と固定解除の仕事は無視します.

  1. 初めの1分子の平均並進運動エネルギー,浮き始める温度,浮く前と浮いてから弁操作前の各供給熱を求めてください.

  2. 弁操作前の内部エネルギー,最終温度,上室の物質量を求めてください.真空への移動の仕事と板の位置エネルギーから,内部エネルギー増加を説明してください.

  3. 加熱停止から最終静止までのエントロピー生成を求めてください.分子の札による混合項は必要ですか.

高さHの断熱箱に質量Mの弁付き透熱仕切板を置く.初期は高さH/5のストッパー上で,上室は真空,下室には気体がある.加熱停止時は高さ3H/5で固定し,弁の短時間開閉後に固定を解除する.最終静止時は高さ2H/5となり,両室に同温の気体がある. 高さHの断熱箱に質量Mの弁付き透熱仕切板を置く.初期は高さH/5のストッパー上で,上室は真空,下室には気体がある.加熱停止時は高さ3H/5で固定し,弁の短時間開閉後に固定を解除する.最終静止時は高さ2H/5となり,両室に同温の気体がある.
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考え方

加熱の定積・定圧過程を分ける.弁操作後は全気体と板の保存則を使い,散逸過程へポアソンの式を使わない.

  1. 並進の平均 3kBT/2 より初めは 3kBT∗/4.回転込みでは 5kBT∗/4 である.浮く条件 pA=Mg と体積 AH/5 より浮く温度は T∗.それまでは体積仕事0で,

Q1=νCVT∗2=MgH4.

浮いた後は p=Mg/A 一定,体積3倍より Ti=3T∗.W2=2MgH/5,ΔU2=νCV(2T∗)=MgH だから Q2=ΔU2+W2=7MgH/5.

  1. 弁操作前は Ui=νCVTi=3MgH/2.板固定で弁を開く間は外壁も固定具も仕事をせず,全気体の U は不変.一部の気体だけを見れば物質とエネルギーが出入りする開放系で,そこへ Q=W=0 を課せない.

解除後は板が H/5 下がる.全気体の体積仕事と板への仕事をまとめると,Uf−Ui=MgH/5.したがって

Uf=1710MgH,Tf=17MgH25νR=1715Ti.

板の位置エネルギーが分子運動に変わり温度が上がる.上室の割合 a=νU/ν は,つり合いから

(1−a)νRTf2H/5−aνRTf3H/5=Mg,52(1−a)−53a=2517.

a=21/85,νU=21ν/85,νL=64ν/85.板はストッパーより上で差圧に支えられ,途中の不可逆な経路を指定せず終状態が決まる.

  1. モルエントロピーは基準定数を除き CVln⁡T+Rln⁡(V/ν).終2室の和から初期の全量を引くと定数は相殺する.初体積 3AH/5 に対するモル体積比は下 85/96,上 85/21 なので

ΔS=νR[52ln⁡1715+6485ln⁡8596+2185ln⁡8521]>0.

値は約 0.567νR.外は断熱で板の S を無視するため,全系の生成である.下室の圧縮の負の寄与より,温度上昇と上室への広がりが大きい.弁での移動,熱移動,減衰が生成を生む.同種分子の札は別成分を作らず,架空の混合項は加えない.

総合演習 21

東京大 1984 前期(改題) ★★★★★

断熱の復元力と,熱スイッチを閉じた後の緩和

向かい合う水平シリンダーの等面積 A のピストンを剛い軸で結びます.全質量 M の連結体の右向き変位 x で,左室は Ax 増え,右室は同量減ります.外圧は相殺し,摩擦,気体の慣性,装置の熱容量を無視します.左 ν,右 2ν モルの同じ二原子理想気体で,回転有効・振動凍結,CV=5R/2,Cp=7R/2,γ=7/5 は一定です.

初温は T1=T0+θ,T2=T0−θ,共通圧力は p∗,0<θ/T0 は1より十分小さいとします.外壁は断熱で,軸内の金属線は物質を通さず,熱スイッチを閉じたときだけ左右にゆっくり熱を流します.

  1. スイッチを開き,軸をわずかに右へ動かして放します.微小な温度・圧力変化を連立し,復元力と振動数 f を求めてください.

  2. 元に戻してスイッチを閉じ,つり合いを保って同温まで待ちます.圧力一定を示し,終温,軸の移動,左から右への熱を求めてください.

  3. 全系のエントロピー生成を対数式で求め,θ/T0 の2次まで評価してください.伝熱を弱めて十分ゆっくり行えば,生成は消えますか.

等面積Aのピストンを剛い軸で結ぶ.左室は物質量ν,初温T0+θ,右室は2ν,T0−θで,共通初圧はp*である.右向き変位xによって左体積はAx増え,右体積はAx減る.軸内の金属線は物質を通さず,熱スイッチが閉じたときだけ伝熱する.実線は初位置,青い点線は右へ変位した位置である. 等面積Aのピストンを剛い軸で結ぶ.左室は物質量ν,初温T0+θ,右室は2ν,T0−θで,共通初圧はp*である.右向き変位xによって左体積はAx増え,右体積はAx減る.軸内の金属線は物質を通さず,熱スイッチが閉じたときだけ伝熱する.実線は初位置,青い点線は右へ変位した位置である.
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考え方

振動には各室の断熱条件,熱緩和には全気体のエネルギー保存を使う.共通圧力の変化は状態方程式と保存則から決める.

  1. 初体積は V1=νRT1/p∗,V2=2νRT2/p∗.断熱で体積仕事だけの微小変化では νiCVδTi=−p∗δVi.状態方程式の微小変化 δpi/p∗+δVi/Vi=δTi/Ti と連立して

δTiTi=−(γ−1)δViVi,δpi=−γp∗δViVi.

δV1=Ax,δV2=−Ax より軸への合力は F=A(δp1−δp2)=−γp∗A2(1/V1+1/V2)x.従って

f=12πγp∗A2M(1V1+1V2).

体積・温度の変化率は十分小さく,内部の平衡化は振動より速いとする.

  1. 外への仕事は相殺し,準静的な連結体の運動エネルギーは無視できる.同じ CV だから保存則は dT1+2dT2=0.共通圧力 p に対して p(V1+V2)=νR(T1+2T2) なので,全体積と右辺の保存から p=p∗ は一定となる.

Tf=T1+2T23=T0−θ3,ΔT1=−4θ3,ΔT2=2θ3.

定圧より ΔV1=νRΔT1/p∗=−4νRθ/(3p∗)=−ΔV2.軸は左へ 4νRθ/(3Ap∗) 動く.左は圧縮仕事を受け,流出熱は

Q1→2=νCp(T1−Tf)=43νCpθ.

右の吸熱 2νCp(Tf−T2) と一致する.

  1. 各室の差を定圧の可逆経路で計算すれば νiCpln⁡(Tf/Ti).a=θ/T0 として

ΔS=νCp[3ln⁡(1−a3)−ln⁡(1+a)−2ln⁡(1−a)]≃143νRa2.

ln⁡(1+y)=y−y2/2+⋯ で1次が消え,2次が正になる.微小熱 dq の生成 (1/T2−1/T1)dq は温度差とともに減る.初めの逆温度差を総熱に掛けると,2次の生成を2倍に過大評価する.

準静的な力学には熱緩和が周期 1/f より十分遅く,内部の平衡化がさらに速いことが必要である.伝熱を弱めても同じ初終状態の生成は消えず,温度差を熱が流れるため不可逆である.

総合演習 22

東京大 1992 後期(改題) ★★★★★

ばねの硬さは熱容量を変えるか

真空中の水平シリンダーに,断面積 A の軽いピストンで ν モルの二原子理想気体を封じます.気体長 x>0,体積 Ax です.摩擦のない理想てこでピストンをばねにつなぎ,膨張するとばねが伸びます.自然長からの伸びは bx,倍率 b=3/2,ばね定数は k です.回転有効・振動凍結で CV=5R/2 は一定です.装置の熱容量・慣性・漏れ,ばねの熱運動を無視します.

初め T0,x0 でつり合っています.加熱部以外は断熱とし,総熱 Q=0.12νRT0 をゆっくり与えます.

  1. てこの仕事からばねの復元力を求め,弾性エネルギー E と内部エネルギー U の比が一定であることを示してください.

  2. 温度・長さの増加の厳密式と小さい加熱の近似式,与えた Q での各比,ばねに蓄える割合を求めてください.

  3. 準静的経路の実効熱容量 Ceff=dQ/dT は k に依りますか.別の装置で初めから固定小室 Vd>0 を連結し,全体積を Vd+Ax とするとどうですか.同じ ν,T0 で比べ,k→0,∞ の形式的な極限も求めてください.

真空中の気体長xのピストンを倍率b=3/2の理想てこに結ぶ.ピストンが右へ動くと,てこの下端は左へb倍動き,右の固定端に結ぶばねが伸びる.自然長からの伸びbxを,ばね全長とは別の寸法として示す.上段は体積Ax,下段は固定小室Vdを管で連結する別装置である.加熱部以外の壁は断熱である. 真空中の気体長xのピストンを倍率b=3/2の理想てこに結ぶ.ピストンが右へ動くと,てこの下端は左へb倍動き,右の固定端に結ぶばねが伸びる.自然長からの伸びbxを,ばね全長とは別の寸法として示す.上段は体積Ax,下段は固定小室Vdを管で連結する別装置である.加熱部以外の壁は断熱である.
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考え方

つり合いと幾何から,気体の仕事として蓄える弾性エネルギーを求め,第一法則に入れる.

  1. ばねの微小仕事 kbxbdx より復元力は kb2x.K=kb2 とすると pA=Kx,従って

νRT=pAx=Kx2,E=12k(bx)2=12νRT.

U=νCVT より E/U=R/(2CV)=1/5.体積仕事だけの準静的過程,外圧0,伸びと気体長の比例,比熱一定が条件である.

  1. W=ΔE だから Q=ΔU+ΔE=ν(CV+R/2)ΔT=3νRΔT.したがって

ΔT=Q3νR,x0=νRT0K,Δx=x0(1+Q3νRT0−1).

温度の式は比熱一定なら厳密.Q/(3νRT0) が1より十分小さいと Δx≃x0Q/(6νRT0).今回は Tf/T0=1.04,xf/x0=1.04≃1.0198.長さ増加の近似 0.0200x0 は約1 %大きい.ΔE=Q/6 より6分の1がばね,6分の5が気体に残る.

  1. Ceff=3νR は k に依らない.硬いばねほど x は小さいが,同温の Kx2 は同じ.定積の νCV と定圧の νCp の中間である.

固定小室がある装置でも pA=Kx.νRT=Kx(Vd+Ax)/A を x で微分すると

dTdx=K(Vd+2Ax)AνR,Ceff=νCV+dEdT=νCV+νRAxVd+2Ax.

固定した温度での長さは

x=Vd2+4A2νRT/K−Vd2A.

k を増すと x が減り,仕事の割合と熱容量は減る.k→∞ で Ceff→νCV,k→0 で Ceff→ν(CV+R/2).後者では長さが発散し,実機の可動範囲を超える.Vd=0 なら硬いばねでも相対的な体積変化が残り,定積の熱容量には近づかない.